4月1日から、ふるさと納税制度が改正され、住民税・所得税の控除額が上がり、給与所得者などの確定申告が不要になるなど、利便性が大幅に向上。注目度が今まで以上に高まっているが、それに伴い津市の同制度『ふるさと津かがやき寄付』への問い合わせも増加している。昨年、新設された使途項目「津城跡の整備」に累計1200万円以上の寄付が集まるなど、津市でも制度の利用が進んでおり、更なる盛り上がりに期待したい。

 「ふるさと納税制度」は4月1日より改正され、利便性が大きく向上した。
 まず大きな改正として、控除枠が昨年までの住民税や所得税の控除率の上限が10%から20%と2倍に大きく引き上げられたことが大きい。一例を挙げると、年収500万円で夫婦共働きで高校生の子供が一人いる家庭の場合、以前までだと3万円が控除の上限だったが、現在は6万円にまで引き上げられている。この内、自己負担分の2000円を引いた5万8000円が自治体へ寄附されるという形になる。
 もう一つ大きな点は、昨年度までは控除を受けるには自分で確定申告を行う必要があったが、改正でサラリーマンなどは自治体が手続きを代理でしてくれる「ワンストップ特例制度」を採用。より気軽に寄附を行うことができるようになっている。ただし、この制度を利用するには一人につき、寄附先を5自治体以下にする必要がある。
 それに伴い、自治体間の特典合戦が過熱しているが最も大切なのは、集まった寄附がどう使われるかだ。津市でも昨年1月、「津かがやき寄附」の使途項目に、寄附額が津城の復元資金として積み立てられていく「津城跡の整備」を新設したところ、「津城復元の会」の地道な制度活動の呼びかけや募金活動、3月に行った津城復元資金造成和太鼓ライブの収益金の寄附といった成果もあり、この項目だけで累計1200万円(昨年度制度を通じて集まった額は324件818万7000円)を超える寄附が集まっている。昨年度の寄附が6使途項目全てで616件1035万7千円ということを考えると非常に大きいことが伺える。津市では、1万円以上の寄付者に対する特典も自己負担分の2000円に相当する品を用意するなど、〝過剰〟な特典による寄附を呼びかけていないことからも、使途でこれだけの寄附が集まった意義は大きい。
 記者は昨年、津市のホームページ上から、オンラインで手続きを行ったため、今年は津市役所4階の財務課で直接手続きを行ってみた。職員の指示通りに、住所・名前・寄附額といった必要事項・希望使途・1万円以上の寄附でもらえるお礼の品(特産品か三重テラスの商品券)を記入。発行してもらった納付書を持って1階の金融機関で寄附金を納入。手続き完了までにわずか20分足らずだった。
 ふるさと納税を担当する津市の財政課にも4月に入ってから問い合わせが増えており、昨年以上に寄附の増加が期待されている。
 全国的にも年を追う毎にふるさと納税の利用が増え続けており、自治体毎のふるさと納税の特典などを紹介するポータルサイトも人気となっている。この制度改正で、これまで以上に利用促進が予想されるが、その一因が自治体間の特典合戦の過熱にあるだけに、国も警鐘を鳴らしている。
 繰り返しにはなるが、大切なのは豪華特典ではなく、あくまでその使途。津市で昨年最も多くの寄附を集めた津城跡の整備は元々、歴史・文化に関わる使途項目に含まれていたものを市民からのニーズで独立項目として設けたもの。現状の各項目でも、より具体性のある使途を明記すれば寄附者の理解に繋がるかもしれない。更なる制度活用にも期待したい。
 津かがやき寄附への問い合わせは津市財政課☎059・229・3124。