三重歴史研究会は6月6日(土)15時~16時半(受付14時半、講演15時~)、アストプラザ4階ホールで総会記念講演会を開く。後援=津市教育委員会。
 講師は放送大学三重同窓会会長で同歴史研究会会長でもある市川雄二さん。演題は「井上靖著『補陀落渡海記』を読む~熊野信仰と平維盛伝説~」。
 市川さんは、「JR那智駅前に補陀落山寺が威厳を正して建立されている。その寺の裏山には、渡海上人の墓が数多くある。極楽浄土を目指して船出した人々の墓である。『補陀落渡海記』は、海の彼方に極楽浄土を夢み求める常世信仰から宗教的に派生した残酷物語を心理面から描いて小説化した作品で、深沢七郎の『楢山節考』の世界を思わせる。
 「補陀落」とはインド南部にあるとされる観音浄土。古い昔から熊野の補陀落寺には寺の前の浜から船出すれば、極楽浄土に流れ着き往生できるという信仰があったが、実際には入水自殺である」と話し、同著をから熊野信仰と平維盛伝説をひも解いていく。
 受講料は200円(資料代。但し会員は無料)。事前申込み不要。直接会場へ。 問い合わせは中村さん☎059・232・0631へ。