hakkenjyuku 三重大学の持つ知識を一般と共有しようと各分野の専門家を招き隔月ペースで開いている津市・津市民文化祭実行委員会主催の、第60回文化講演会?「発見塾」が3月28日、津リージョンプラザ2階の健康教室で開かれた。主管=津文化協会。後援=同大学、本紙。
今回の講師は同大学大学院生物資源学研究科の立花義裕教授。演題は「気象と市民生活」~異常気象が起る理由が分かると人生絶対得します~。
立花教授はまず、三重県は本州で一番雨が多く水災害の危険が大きいことや、自然災害で人が亡くなるというと突発的なことのように思われがちだが毎年、熱中症で多くの人が死亡していることについて説明し、「気象の予知ができると我々の健康にも影響する」とした。
次に、2011年の台風12号を例に挙げて、台風の進路が決まる仕組みの新説を紹介。また豪雨の発生や強度に影響するものについて「梅雨前線が遅くまで居座るほど、遅い時季に豪雨が増える。黒潮の水温や蛇行かどうかも関係する」などと語った。
続いて「北極振動(北極と中緯度の地域の気圧が相反して変動する現象)のパターンがわかると、全部ではないが、日本で猛暑や寒い冬になるかがわかる。夏の猛暑が予想できれば、人命が救えると思う」と話した。
最後に気象力に関する独自の標語7つを紹介した。内容は次の通り。
①「温暖化 ただしく理解 気象力」……地球温暖化や地球環境のことを正しく理解している人、それは気象力が高い人。
②「地球love ワクワクするぞ 気象力」……
気象力が身につくと地球の不思議にワクワクする人、地球を愛する人、そして地球に優しい人になる。愛する地球には、謎や未知が沢山あり、気候・気象にも謎がいっぱいある。地球を愛し、地球に愛される人、つまり気象力の高い人が増えた方が良い。
③「気象力 なんでもグローバルで みちゃう癖」……気象力が高まると物事をグローバルな視点で見る癖がつく。
大気は地球全体を覆っている。気象を理解するためには、地球全体のことを考えなければならない。そのような見方によって、国際的な政治問題、社会問題などの解決にも応用の利く国際感覚が自然に身につく。
④「天災で しにたきゃなけりゃ 気象力」……気象力が高い人ほど天災で命を落とす確率は低い。気象力は生きる力を強める。
⑤「海と陸 両方知りたきゃ 気象力」……異常気象や気候変動は、農業・食糧問題に直結し、水産資源の変化にも影響する。植生の変化や、黒潮などの海流は地球の気候や気象を変える。地球の生物圏を理解するためには、気象や気候のことをわかっていることが大事。
⑥「気象力 オリンピックで 金メダル」……2016年に三重県で高校生の国際地学オリンピック世界大会が開催される。
⑦「三重大で 気象力は ばっちりよ」……三重大学生物資源学部共生環境学科に入学すれば気象力を観測で極めることができる。