梅雨に入ったら、また庭の草が伸びた。雨で膨張するのではないかと思うほどに雑草のボリュームが大きくなっている。腰を据えて草引きに取り組まねばならない。
草引きが嫌いだから、ついつい取りかかるのが遅くなる。すると草が種を蒔いてしまうのか、次の年にはもっと草が増える。悪循環である。それにドクダミのたくましいこと。春にがんばって引き抜いたのに、三カ月経たないうちに白い花をつけている。
この花は家の北側の暗がりを照らすように咲く。よく見ると葉はかわいいハート型。独特の臭気さえなければ、美しい部類の花であろう。薬効もあるから、庭に置いても良いかとも思う。
しかし、よそのお宅を見ていると、ドクダミの茂る家は、うらぶれて見える。うらぶれた家には落ちぶれた人が住んでいるような気がする。落魄に似合ってしまうドクダミは、やはり引いて捨てなければなるまい。
土を深く掘り返して、ドクダミの地下茎を注意深く取り除いていく。半端な草引きはドクダミ増殖のお手伝いになるようなのである。耕すなどして地下茎が刻まれると、土に残った地下茎の数だけ芽を出して、かえってドクダミが増えるという。
年を取るのはしかたがないけれど、落ちぶれるつもりはない。たんねんにたんねんに、少しも残さずに。梅雨時の課題である。     (舞)