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大学を卒業し津へ里帰りしたものの、当時津市にはスイミングもフィットネスクラブも、ましてやジムなどない時代。練習場にも困り後々、全日本実業団パワーで最優秀で優勝することになる藤井伸哉選手(現・フジイ工事管理代表)などと共に現在のジムの前身となる津体育館を拠点とした津トレーニングクラブを立ち上げてから、もう35年以上の年月が流れ、まだ一般の方のシェイプアップや若返りなどを指導しながら現役チャンピオンとして津市で最初に出来たジムを率いています。
小学生時代の駆けっこから始まり、長くスポーツに携わり私には、どうしても忘れられない光景があります。
時は中3…地元橋南の陸上部の主将になった私に当時の顧問が「最後くらいは一花咲かせて行け」と言われ選んだのが80mハードル走でした。
専門書を買い、一流選手の跳び方も研究し、走る度にタイムは上がり数カ月先には50mへハードルを5台置き、7秒0で走れるまでになりました。
短期間の調整で迎えた県体予選を兼ねた津安芸大会。三重大学のグラウンドで私は予選は軽く流し、トップで決勝の第一コースに着いていました。「位置について用意!」の掛け声で集中していた時、すぐ隣の2コースにいた他校の選手が一歩飛び出ししました。
私はフライングと再レースを確信し、体力を温存するために、地面に手を着きながらフライングを知らせるピストルが2発なるのを待っていました。
他の選手達は2コースの選手につられて飛び出して行きました。皆が12m50㎝先にある第一ハードルをまたぎ越そうとしているのをスタート地点から見た時、有り得ない事が起こってしまったことと、数カ月間の猛練習のことや、「ビリか?」という思いが一瞬の内に脳裏に走りました。
私は「そんな馬鹿な!」と思いながら渋々後ろから走り出しました。途中、皆との差が詰まって来ているのを感じ、慌てて急加速し一度着地でバランスを失いかけたこともまだ覚えています。
結果は胸の差ほぼ横一線でしたが猛進及ばず1位が11秒7、2位から私の4位までが11秒8で敗れました。代表も3位まででした。4位では県体までに更にハードリングを磨き県記録を出すのは無論のこと、中学日本新を出す夢も、この屈辱のグラウンドで終わりました。
レース後、顧問に「お前だけ何をしとったんや?」と言われ、「隣の子が用意で一歩出た。走る訳ないでしょ、明らかなフライングのピストルさえ鳴らなかった。抗議して下さい」と言うと顧問は「勝負事は終わってしまったら終わり、一回切り」と取り合ってはもらえませんでした。
走らなかった自分の過失で今までの努力を無駄にしてしまったことも重なり、スポーツを始めて、テント裏で初めて涙した日でもありました。
おまけにその後に行われたリレーでも、まだ動揺していた私は折角トップで走って来ながら同じカラーのランニングを着ていた他校の生徒にバトンを渡そうとしてアンカーと皆に迷惑をかけ、楽勝だったはずのリレーまで敗れてしまいました。
今も当時のリレーメンバーに会うと「あの時はすまなかった」と言うしかありません。あの日の悪夢はその後も何度も、夢に出てきました。スタートしなければと、2階の窓からダッシュして飛び出しそうになったことも。
先日オグシオの潮田さんが、やはり中学の時だったか、全国大会で後にコンビを組むことになる小椋さんと試合した際、勝てると思っていたのに力が発揮できずに敗れ、その時のことがショックで、その後の頑張りに繋がったことを聞きました。
私の場合は、その後ウエイトリフティングやパワーと競技は変わっても40年以上現役でチャンピオンを続けて来れたのは、あの悪夢のような津安芸大会の惨敗が原点でした。
人は苦しんだ分強くなれるのは本当だと思います。スポーツは長く続けるとスキルやポテンシャルだけでなく、人生の中で味わった大失敗や理不尽なこと、裏切りや幸せにしたかったのに出来なかった心残りが逆に力になり、競技で一瞬の内に力を出せるようになります。
二度失敗しても三度目には成功できると確信できます。そう、苦しみも悲しみも喜びも全て力になるのです。一流選手はスタミナもパワーも無くなってしまったと感じた所から力を発揮出来たりもします。
かのブルース・リーが映画「燃えよドラゴン」の中で遺した名ゼリフ、「考えるな、感じろ」は正解だと思います。還暦を過ぎた今も同階級の三重県記録より一枚上手のレベルで、あの林先生の言っていた、常に戦場にいる心構え「常在戦場の精神」を持ち、成績を保持するのではなく前進できているのも、ブルースの言ったように、年を重ねる程、人生まで感じることが出来るからではないでしょうか。
また、無の境地とは何も考えないことではないとブルースも言っています。人生には苦しみも悲しみも喜びもあったはずです。試技(演技)とは、スキル(技術)や体力を越えた所で、成功のイメージを電光石火の如く放出(爆発)することだとブルースは言いたかったのだと思います。
若い皆さんは苦しみも悲しみも恐れることなく胸に刻んで突き進んで下さい。光が見えず暗闇の中にいても負けないで下さい。いつかきっと勝つ日が来ることを祈ります。
私は弟子を陸上やバドミントンやバスケや野球、柔道、レスリングなど300名を超える三重県チャンピオンに、日本一や世界チャンピオンも含めて育てて来ましたが、私自身は名コーチに巡り逢うことは生涯なかったと思っています。それも私が走り続ける理由の一つであり、33年前、津市で初めてのジムを立ち上げた理由です。若者には同じ思いをさせたくなかった。日本一強いグランパとして走り続ける力は内からなんだと、より多くの若者に伝えたかったのです。
体幹の自然なうねりを上手に使うスーパー小学生だった私ですが、中学の頃には「もっと腕を振れ、もっと太ももを上げろ」と指導され、既に原点の自然な走りを忘れ、力んだ走りで重心も浮きスランプに入っていました。有り余る筋力を使いこなせてなかったのです。それを指摘してくれるコーチもなく気付いたのは陸上を辞めてからでした。
私の重ねて来た多くの失敗は若者の成功への道標です。だから失敗も恥も恐れないで下さい。明日輝けばいいのですから。
2015年6月4日 AM 4:55
(一社)津市観光協会=津市羽所町=が1日、市内にある10山(錫杖ヶ岳・長谷山・経ヶ峰・青山高原・高束山・矢頭山・髯山・尼ヶ岳・大洞山・倶留尊山)の初心者向け登山ガイドブック『津10山(つてんざん)ガイドブック』の改訂版を発行し、500円(税込)で販売している。
近年、登山ブームの影響もあり、同協会への登山に関する問い合わせが多い。そこで、津市内のガイド14団体が加盟する「津観光ガイドネット」が、プロ登山ガイドの保田辰弥さんをアドバイザーに迎えてプロジェクトチームを立ち上げ、このガイドブックを制作・編集した。
約1年がかりの10山の現地調査や一部の登山道の整備、10数回の編集会議を経て完成した力作で、山の歴史をはじめ、山周辺の名所旧跡などを写真付きで紹介している。また手書きでわかりやすい登山ルートの地図や、登山初心者の女性が、登山の難易度を星の数で表した「山ガール難易度評価」も掲載されている。
今年3月に初版が発行され、限定数を無料配布したところ大好評で数日でなくなった。その後も「有料でも良いからほしい」という声が多く寄せられたため、同協会が改訂版発売に踏み切った。改訂版では、山の名称や登山ルートの説明文、掲載写真などの一部が修正・変更されている。
ガイドネットの山本晃さんは「山に登ってもらうのはもちろん、温泉や物産販売所など周辺施設も知ってほしい」と話している。
A4判、27ページ。津駅前観光案内所と、本紙で販売中。問い合わせは同協会☎津246・9020へ。
2015年6月4日 AM 4:55
津市丸之内養正町のNHK津ぎゃらりーで、10日~14日10時~17時(最終日は16時まで)、津市久居老人福祉センターで活動するフォトサークル「写季写喜」が第4回写真展を開く。
出品作品は一人3点。1点は「道」がテーマで、ほかの2点は自由なテーマ。星空や花などを美しく撮影した力作が揃う。講師の鈴木幸雄さんは「当会では一人ひとりの個性や、とらえ方を大事にしています」、代表の白藤一巳さんは「日頃から何を見ても、写真に撮るといいだろうなと思う」と話している。
2015年6月4日 AM 4:55