「㈱フューチャー・ファーム・コミュニティ三重」が、農業による高野尾地区の活性化の拠点として、大規模な農産物直売所などを備えた施設『花と緑と水の里(仮称)』の建設を来年6月のオープンに向けて進めている。6月24日、共同研究を三重大生物資源学部の若手研究者と同施設の農作物を供給することとなる地元農業者たちが語り合う『みんなで農業の未来を考える会』の第1回が開かれるなど、今後の進捗が期待される。

 

みんなで農業の未来を考える会の様子

みんなで農業の未来を考える会の様子

「高野尾地区活性化プロジェクト」は植木用のサツキの生産で栄えていた同地区が、需要の減少や高齢化による後継者不足で衰退の一途を辿っているため、地域住民から、㈱赤塚植物園の赤塚充良会長に現状をなんとかしたいという切実な声が届いたのをきっかけにスタート。同社、三重大学、高野尾地区の関係者たちが「高野尾地区活性化推進協議会」を設立し、農業による活性化を行う。現在、プロジェクトの核となる施設『花と緑と水の里(仮称)』(津市高野尾町)。運営主体の㈱フューチャー・コミュニティ・ファームは来年6月のオープンに向け工事を進めている。
この施設は、赤塚植物園の実験農園で広大な敷地に多様な植物が植生する「レッドヒルヒーサーの森」と隣接。同社の持つ土づくりの技術を核に三重大学との共同研究で環境に優しく持続可能な方法で収入が得られる新しい農業の理想郷を生み出すべく模索を続けている。具体的には3万2000㎡の土地に、出荷会員数最大700名の地域の農産品や加工食品などを販売するファーマーズ・マーケット(農産直売所)を中心に、同じく地産の農産物やエディブルフラワー(食用花)の料理や菓子を提供するフードコート、環境学習や三重大学との産学連携を行う研修室などを備える。それらの機能をフルに活用し、年間36万人もの集客をめざす。
6月24日に第1回が行われた「みんなで農業の未来を考える会(略称=のみかい)」は、現場との深い関わりがなく、日々の研究の成果を実践する場に恵まれない三重大生物資源学部の若手研究者と、最新の知識や技術を必要としている地元農業者や農協職員らがひざをつきあわせて、気軽に話をできる場をつくろうと開催していくもの。
初回ということもあり、この会の意義を再確認するとともに、8月~9月に地域の農家だけでなく、家庭菜園を持つ者など高野尾地区の農地を持つ市民を対象にしたアンケートを実施して、データを集める「直売所の出荷者動向調査」の詳細を説明。調査を通じて、どのような農家が直売所に出荷するのか、生産者の意思決定のメカニズム、どういう作物を出荷するのかなどを探り、農家が施設の直売所に何を求めているのかを分析。直売所ができる前後で作付面積や売上の変化といった波及効果を導き出す。このような直売所設立の前後で比較分析したデータは、全国的にも存在しないので、地域活性化の重要な指標となることも期待されている。また、駒田美弘新学長の下、地域との連携をより強化することを掲げている三重大全体にとっても貴重な実践の場となる。
施設の南側の農地一面に四季折々の花を植えて、施設との相乗効果で集客をアップをねらう『花・夢街道』の整備も進められる予定で、景観形成の足掛かりとして、3300㎡のコスモス畑の準備をしている。そのほか、学生たちによるエディブルフラワーを使ったレシピ開発など、着々とオープンに向けて、産学連携による多彩な計画が進んでいる。農業による地域活性化の先進例にもなるだけに今後の進捗にも注目だ。
施設名の募集

①施設の全体名称②各建物の名前(ファーマーズマーケット、フードコート、研修棟)③名称の由来・意味④応募者情報(住所・氏名・☎)を専用の応募用紙に明記。審査のポイントは、みんなが呼びやすい、覚えやすい、愛着がわくの3点。応募者の中から抽選で10名に素敵なプレゼントも用意している。応募用紙は、HP=http://ffcmie.co.jpからダウンロードするか、アスト津1階のBOSCOとアカツカFFCパビリオンにも設置。応募はFAX059・230・0576、もしくはeメールaishoboshu@ffcmie.co.jp
詳細はHPで確認を。問い合わせは☎059・230・0282