自営業者や非正規労働者らが加入する国民年金だが、納付率の低下が深刻化していることから、厚生労働省は対策として、一定以上の所得がある滞納者の財産を差し押さえる「強制徴収」に力を入れている。三重県内でも昨年度は48件の差し押さえを行い、収納率の向上に寄与している。

 

全国に昨年度末で対象者(第1号被保険者)1742万人いる国民年金。納付率は、平成3年度の85・7%をピークに平成23年度の58・6%まで低下した。これに危機感を抱いた厚生労働省は改善策を打ち出しており、滞納者の預貯金や生命保険といった財産の差し押さえなどを行う強制徴収にも力を入れている。
強制徴収の対象者は、以前までは明確な基準が設けられていなかったが、昨年度に控除後の所得が年間400万円以上かつ13カ月以上の滞納がある者と明確に設定。中でも控除後の所得が年間1000万円以上ある者に関しては特に厳しく強制徴収に踏み切った。
全国で5万6767人の対象者に最終催告状を送付したところ、最終的に8104件の差し押さえを実施。うち201件は控除後の所得が1000万円以上の者だった。それらの成果もあり、収納率は3年連続で回復。昨年度は現年度分で63・1%となり、一昨年度の60・9%から2・2%上昇した。
三重県では今年3月末の納付率が69・9%と全国平均を上回っており、平成26年度3月末の67・9%から2%上昇している。日本年金機構の津年金事務所でも納付に応じない場合は財産の差し押さえを行う旨を記した特別催告状を送付。それでも応じない場合は、督促状を。更に応じない場合に財産調査をした上で差し押さえ等の強制徴収という段階を踏んでいる。三重県内で、最終的に差し押さえに至ったのは48件(控除後の所得1000万円以上は0件)だった。今年度も特別催告状を送る対象者を増やすなど、更なる収納率向上を画策している。
しかし、日本年金機構の個人情報の大量流出問題の発生以降、未納者への催告状や強制徴収を自粛している状態が続く。できる限り早く問題を終息させ、再び滞納者に対する強制徴収などを行うとしている。
そもそも収納率の低下の原因は、少子高齢化に伴う制度そのものへの不安だけでなく、消えた年金問題をはじめとるする厚労省や年金機構に対する不信感も根底にある感は否めない。
とはいえ、年金保険料の納付は法で定められた義務であり、加入者間の平等を守るという観点からも、納付率の向上は不可避。まして、月額1万5590円の保険料を必死に捻出している低所得者がいる中、それなりの所得があるにも関わらず保険料を滞納している者に対しては看過できないのも自明の理である。
日本年金機構では保険料が支払えないほど所得の低い人や、学生など資格を満たす人には免除や猶予を利用するように促している。納付率は、免除や猶予をされている者を除外して計算するので、昨年度の納付率は実質40・6%にまで落ち込んでしまう。
そもそも、ここまで収納率の低下を招いたのは、滞納者に納付を促す取り組みが甘かったからだ。それが結果として無年金者や低年金者を生み出す要因にもなった事は間違いない。そういった意味でも滞納者に対する強制徴収は数字以上の意味を持つ。今後の積極的な取り組みに期待したい。