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上中編に引き続き、独自の取り組みで林業の新たな可能性を見出し、様々なことに挑戦している『三浦林商』=津市美杉町丹生俣=の三浦妃己郎さん(48)に映画『ウッジョブ!』で高まった林業への関心や、林業の未来や潜在能力について聞いた。(聞き手は本紙報道部長・麻生純矢)
--昨年公開された美杉町を舞台とした映画「ウッジョブ~神去なぁなぁ日常」でも、撮影にご協力されていましたよね。映画の影響で林業に関心を持つ人が増えたのではないですか。
三浦 放映されてから1年以上経つのに、全国から真剣に林業体験をしにくる人がいる。テレビ、新聞などに取り上げて頂き、講演する機会も増え、より多くの人に林業のことを知ってもらえるようになった。その人たちに伝えているのは、木に感謝し木を無駄にせず大切に扱う事。木を伐って売るだけが林業ではないという事。東京など都会でのマーケティング、木製品の販売、映画やマスコミへの協力、観光ガイド、森林医療なども林業と考える。これらの林業は技術が無くてもできる。
極論になるかもしれないが、屋久島はあの森を見にくる観光客によって、島の経済が成り立っている。それを本土の森でもやれば、外国から人を呼べるようになる可能性を秘めている。森林の無い国の人からすれば、整備された日本の森林はとても美しくて気持ち良く感じるはず。スギの学名はクリプトメリアジャポニカで、これは日本の宝という意味。津市でも森林の整備が進めば、それ自体が観光資源になる。例えば数字で考えると、美杉の森林だけでも1万8000ha、きちんと森の整備をすれば、数百年のスパンではあるが1haで1億円を生み出すことは難しくない。1haに300年生の木を100本残せば、一本100万円として1億円、美杉町全体で1兆8千億円の財産になる。更に観光収入等を合わせればかなりの金額になる。数千人規模の雇用が生まれると思っている。
--市域の6割が森林ということを考えれば、津市にとっては非常に夢のある話ですね。行政からはどのような支援があれば良いと考えますか。
三浦 津市はこれだけ広い森林面積を抱えているのに担当者が1名では負担が多すぎる。もっと力を入れて林業に力を入れてほしい。それとシカ対策。従来のシカ対策では効果がないので、モンキードッグのような天敵をつくることが重要。シカに木の皮を食われれば、中が腐って空洞になるので木材の価値が無くなってしまう。林業家は山の木に世代を超えた貯金をしているようなもの。私たちが木を売って食べていけるのは、植えて育ててきてくれた先人がいるからであり、私たちも未来人のためにいつ引き出せるかわからない貯金を管理していく使命がある。鹿害は例えるなら40年勤めてきて退職金を2000万円もらえるはずが1万円になったようなもの。農業分野の獣害ばかりが取り上げられているが、私は林業と農業の両方をやっているので、次の年またやり直せる農業よりも林業の方が遥かにダメージの大きいことを実感する。
--最後に林業のこれからについて一言を。
三浦 これからの林業には希望があふれている。前述した通り、やり方次第では、日本のナンバー1産業にもなれると思っている。
--大変心強い言葉をありがとうございました。
2015年10月29日 AM 5:00
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