「三重中央農業協同組合」=本店・津市一志町田尻=が設立し、地元のガイド団体「一志町歴史語り部の会」が運営する『三重中央農協 郷土資料館』=同町高野=が今年、リニューアル10周年を迎えた。同館では、生活用具、歴史、養蚕・製糸業、農林業に関する資料や、蚕の飼育の展示を行うほか、今年4月には農機具などを動かすことができる「体験室」もオープン。学校教育や地域の社会教育、生涯学習に広く活用されている。

 

「三重中央農協 郷土資料館」

「三重中央農協 郷土資料館」

展示を説明する語り部の会会員と、豊津小の3年生

展示を説明する語り部の会会員と、豊津小の3年生

『三重中央農協 郷土資料館』は、旧館が、昭和60年、一志町農協の20周年記念事業の一環で開館した。農協が設立した郷土資料館は全国でも珍しいという。その後、三重中央農協が引き継ぎ、平成17年、旧館前に建っていた農業倉庫(米蔵)を改修し新館をオープン。当時から、「一志町歴史語り部の会」に運営を委託している。
同館の特長は〝展示を見て、触って、体験できる〟ということ。4つの展示室に、①生活用具②歴史③かつて一志地域で盛んだった養蚕・製糸業④農林業に関する資料があり、触れることが可能なものも多い。
また、毎年、町内外の養蚕経験者らでつくる「蚕糸研究会」が中心になり蚕を飼育し展示しているほか、今年4月には、昔の農機具や生活用具などを動かせる「体験室」をオープン。幅広い世代が、地域の歴史や産業、人々の生活やその変遷を実感を持って学べる貴重な場となっている。
そして見学には、町内だけでなく市内の他地域の小学生や、各地の公民館講座生、海外からのツアー客も訪れており、語り部の会が丁寧にガイドしている。
今月10日には、津市河芸町の豊津小学校の3年生34名が社会見学で来館。語り部の会が案内し、児童は展示されている道具の使い方を質問したり、蚕の繭に触れてその固さに驚くなど、楽しみながら学習した。
三重中央農協の片岡眞郁組合長は「地元や県内外から多くの方にご来館頂き、おかげ様で10周年を迎えることができました。これからも、貴重な資料が豊富に揃う郷土資料館を地域全体で盛り立てていきたい」、また、語り部の会の西田太司会長は「来館した人からの、『思っていたより良かった』という声が嬉しいです」と話している。
一志町の魅力と共に、先人の足跡を、多くの人に伝えている同館。今後の更なる発展に期待したい。
なお10周年記念イベント「むかしフェスタin郷土資料館」が12月5日10時~15時、同館で催される。内容は唐臼での米つき・足踏みミシン体験、スタンプラリー、蚕の展示、糸織り・機織り実演、餅つき大会、産直コーナーなど。問い合わせは三重中央農協企画課☎津293・5000へ。