今年作成されたパンフレット「大般若経転読 世だめし粥占い

今年作成されたパンフレット「大般若経転読 世だめし粥占い

今月14日に行われた「世だめし粥占い」の様子

今月14日に行われた「世だめし粥占い」の様子

14日、津市河芸町北黒田の北黒田公民館で、市指定無形民俗文化財である行事『世だめし粥占い』が開催された。企画・運営は地元自治会を中心に構成する「北黒田世だめし粥占い保存会」=代表・岡昭夫さん(69)。
北黒田地区には88世帯、約300人が暮らしている。かつては、野菜や米作りなど農業が中心の村で、現在は、甘くて粘りがあり美味しいと人気のブランド米「黒田米」が生産されている。
そして同行事は地区の住民の手で500年以上前(室町時代)から絶えることなく毎年2月に催されているもので、通称は「大はんにゃ」。無病息災や豊作などを願うと共に、前日から炊く粥の中に入れておいた3本の竹筒などで、その年の田植えに適した時期を占う。
今年も地区の内外から多くの人が参加。同市栄町の四天王寺の倉島隆行住職を導師に迎えて、読経が行われた。その後、占いで田植えは中生(4月下旬~5月上旬)が適しているという結果が出た。
岡さんによると、この行事を通じ幅広い世代の住民が集い、高齢の人が若者に様々なことを教えるなどして、自然に交流。助け合い・支え合いの精神が育まれる良い機会にもなっているという。
また住民達は、時代の変化に応じて開催場所や日を変えるなど工夫と努力を重ね、行事の伝統を守ってきた。その一環として、今年、同保存会が、この地域の伝統文化の啓発に役立てるため、パンフレット『大般若経転読 世だめし粥占い』を新たに作成した。
A4版、三つ折り。住民達が企画・編集したもので、同行事の由来、概要、運営方法などが写真と文で分かりやすく紹介されている。
行事に合わせて地区の全戸に配布したほか、津市役所・津市河芸総合支所・4月24日にオープン予定の道の駅「津かわげ」でも配布する。
岡さんは「北黒田地区には国道306号があり、4月には道の駅もオープンする。古き良き時代の地域資源を掘り起こし、この立地を上手に生かしてPRしていきたい」と話した。