3月11日、津観音こと『観音寺大宝院』=津市大門=が所蔵する絵画『絹本著色 弘法大師像』が同寺初となる国指定の重要文化財として答申を受けた。更に、同25日に9件が新たに津市の有形文化財指定されており、これで国・県・市合わせて75点の文化財を所蔵することとなった。昨年に真宗醍醐派の別格本山へ昇格した同寺だが寺格の高さを裏付ける多数の宝物を所蔵しており、今後も精力的に文化財認定をめざす。

 

国重文「絹本著色 弘法大師像」

国重文「絹本著色 弘法大師像」

「不動明王像」

「不動明王像」

国重文「絹本著色 弘法大師像」

国重文「絹本著色 弘法大師像」

同寺は平成3年に津観音保存会を設立。昭和20年の大空襲による戦火を逃れた貴重な寺宝などの所蔵品を後世に伝えるべく、修復・整備に着手し、それらを順次、文化財申請している。
今年3月11日に国からの答申があり、同寺初の国指定重要文化財となった「絹本著色 弘法大師像」は鎌倉時代の絵画。真言宗開祖・弘法大師空海が亡くなる直前の姿を描いたとされる御影の形式を踏襲する鎌倉時代の作例。同時代の空海画像は少なからず残っているが特に保存状態が良好。画中の墨書で、以前は京都の泉涌寺に伝わったことが判る作品で、文化史的にも重要な研究材料となり得る作品との評価を受けている。
更に、今年3月25日に9件16点が津市指定有形文化財の指定を受けた。内訳は絵画(全て絹本著色)が①「尊勝曼荼羅図」(室町時代)、②「釈迦十六善神像」(鎌倉時代末~南北朝時代)、③「五大尊像」(室町時代)、④「不動明王像」(室町時代)、⑤「大随求菩薩像」(桃山時代~江戸時代)、⑥「高野四所明神像」(桃山時代)、⑦「職貢図」(明時代)、典籍が⑧「紺紙金銀字千手陀羅尼経」(平安時代後期)、⑨「紺紙金字妙法華経」(平安時代末~鎌倉時代)。
一部を紹介すると…「尊勝曼荼羅図」は伝統的な技法で描かれた仏画だが、天台寺門系に通ずる作風で、真言宗の有力な寺院である同寺に伝わっているのは極めて異例の作品。「不動明王像」は独鈷杵を持つ赤不動を描いた画幅。同じような姿を描かいた本格的な仏画はほとんど知られておらず、資料的価値は極めて高い。尊勝曼荼羅図と同じく、特異な個性を持つ中世仏画の遺品として特筆すべき存在と評されている。その他の文化財も、全国的に見ても希少な品々が揃っており、文化的価値は非常に高い。
同寺は昨年に真言宗醍醐派の別格本山へと昇格。今回、初めて国重要文化財指定の答申を受けたことは、その格式を裏付ける上でも重要な意味を持つ。今後も、所蔵品の文化財申請を積極的に実施。津市民共有の財産として更に価値を高めながら、津市の文化レベル向上にも貢献していく。
津観音資料館で、5月29日まで「平成27年度 新指定文化財展」を開催。開館時間10時~17時。4月14日~19日は臨時休館。弘法大師像は4月19日~5月8日まで東京国立博物館での「平成28年 新指定 国宝・重要文化財」に出展。津観音資料館での展示は無い。