久しぶりにウォーキングしていたら、顔見知りのおじさんと行き合った。「こんにちは」「こんにちは」「いいお天気ですな」「雲ひとつないですね」「だいぶ暑なりましたな」「ホント暑いです。夏が来ますね。少し歩くと汗びっしょり」
雑談の極意は「オウム返し」である。オウム返しは相手の言葉をしっかり聞いているというサインであり、次なる話題へ発展するきっかけとなる。
ところが、おじさんはまじまじと私を見て、次にこう言った。「ちょっとお太りになりましたか」私は思わず絶句した。そして、「ええ、太るというか、垂れるというか、シミやらシワやらいろいろ大変です」と作り笑顔。
失敗に気が付いたか、おじさんはあわてて、「いや、ボリュームがあって、よろしいかと思いましてな」。フォローのつもりが、なっていない。さらに深み、泥沼である。
「いえいえ、それでは」私はにこやかに立ち去りながら、実はショックから立ち直れない。太ったかもしれないが、よく知らない人に言われたくない。タフなおばさんであっても、敬語で包んで言われても、傷つく時には傷つくのだ。
雑談の極意その二には、「質問に注意する」を挙げよう。質問は相手の気にしているところ、弱いところを突いてはいけない。当たり障りのない事柄に限るべし。
「明日の天気はどうですかな」     (舞)