今年も月下美人の花が咲いた。この花は、夕方から咲き始め、濃厚な香りを周囲にまき散らしながら夜中に満開になる。白い花びらをふっくらと重ねて、幻想的ともいえる姿だ。
聞くところによると原産地では、蝙蝠を呼び寄せて花粉を運ばせるという。強い香りも白く美しい姿も蝙蝠のためのもの。蝙蝠がねぐらに帰る朝には、花はしぼんでぐったりと垂れ下がる。まさに、美人薄命。一夜限りの花の命だ。
名前から、特別大事に扱われるべき花のようだが、しぼんだ花を食べることができる。去年は、酢の物にして食べた。今年はスープに。台湾の家庭では、乾燥月下美人をスープの具にするそうだ。
レシピ通りに豚肉と月下美人のスープを作ってみた。豚肉に火が通ったところで、月下美人の花びらを入れて、塩で味つけた。花びらに特に味はなく、強い香りも残っていない。効能は知らないが、薬膳だという。
今年の月下美人は、あまり勢いがない。私が水やりを忘れて日干しにしてしまったからだろう。月下美人はサボテンの仲間だが、比較的水を好む。
元気がよい年だと、秋口にもう一度花を咲かせる。でも、今からがんばって世話をしても、今年の花はもう無理かもしれない。育ての手間を惜しんで、後で取り返しがつかない事態になったりするのは、植物でも他のものでもよくあること。(舞)