この暑い時期の台所は嫌いだ。ガス台の前に立つと、ご飯が炊ける熱、炒め物、揚げ物の熱が顔の前に立ち上る。
だからもう、揚げ物をしないと決めた。鯵ならフライではなくムニエルに。鶏なら唐揚げではなく、ソテーに。野菜の天ぷらなら……やはり天ぷらが食べたい。
天ぷらは外で食べよう。自分で天ぷらを揚げると、暑いし、多く作りすぎるし、油のにおいで食べる前に満腹になるし。ほかの人が作ってくれる天ぷらが食べたい。
そんな時に立ち寄った道の駅津かわげで、おいしい天ぷらを見つけた。千円の天丼を注文したら、どんぶりの中の天ぷらがびっくりするほど多かった。エビとキスとマイタケと何種類もの野菜と。それが熱々だし、サクサクしているし、うれしいことこの上ない。
天ぷらに隠れて天丼のご飯が出てこないので、天ぷらを取り置く皿が付いてくる。少し天ぷらを取り出してから、たれをかけて天丼をいただく。
このとき、好きな天ぷらから食べるのが、肝要。天ぷらのおいしさは最初が最大。食材が変わると天ぷらの味も違うが、さすがに単調に感じてくるから、間にみそ汁や漬物で舌を休める。
名のある天ぷら屋でなくとも、天ぷらはおいしい。ソバ屋でもうどん屋でも揚げたてを供してくれる店がうれしい。暑い夏に揚げ物をし続ける料理人さんに感謝である。        (舞)