南海トラフの巨大地震を想定した災害派遣医療チーム(DMAT)による広域医療搬送などの図上、実動訓練が、このほど県内外の災害拠点病院などで行われた。
これは政府の応急対策活動計画に基づく大規模訓練で、DMATは医師や看護師、医療職らで構成。概ね48時間以内に活動できる、機動性をもった専門的な訓練を受けた医療チームだ。
日本福祉タクシー協会も、訓練を希望した事業者が参加した。日本は、地震多発国国。いつ発生してもおかしくない大規模災害が予想され、大勢の人が犠牲になると危惧されている。
そのため、組織体制の機能を強化しようとするのが訓練の目的。当日の模様を、福祉タクシー(後方搬送)の視点からルポする。
搬送拠点となる臨時医療施設には、各県から集まったDMATの医師や看護師らが集結。患者に扮したボランティアらを救急車輛で運んだり、負傷者を重症度、緊急度などによって分類し、診療や搬送の優先順位を決める、「トリアージ」が行われた。
私達は集合地点の三重県立総合医療センター(四日市)で指揮下に入り、後方搬送を担当した。震災発生後の負傷者の模様は、その都度、克明に示されるが、大勢の負傷者情報が一挙に集まるため、指示を待つ待機時間は長く、情報はかなり錯綜している模様。本震が起きた時には、いかに指示が的確に伝達され、搬送をスムーズに進めるか、メンバーで話し合った。参加者は不休で、訓練と言えど気を抜くことはできない。
待機が続き、ようやく指示があった。いなべ総合病院へ、ストレッチャーで負傷者を搬送せよとの指示に従い、各自待機した車輛を準備する。間もなく、余震発生の知らせも入った。参集した病院内は、模擬患者を乗せたり、各チームの緊迫したやりとりが頻繁に行われた。
福祉タクシーのメンバーも、情報を把握しようと懸命だ。車輌には医師、看護師も同乗し、場合によっては医療用酸素、その他の機材も搭載の可能性があり、車内はスペースの十分な確保も大切だ。
走行は「安全、安心」が搬送の基本だが、本震では道路が寸断する箇所も想定される。また、負傷者の負傷程度も様々な変化が出てくると想定される。気象状況もどうなるかわからない。
この日は県外病院へ傷病者を搬送する訓練もあり、長距離だけに燃料の確保や飲料水なども、あらかじめ用意することが大切だと感じた。
同乗した看護師も、先の熊本地震の際、DMATとして現地入りしたことがあるという。「何が起こるかわからない。想定外もある」と、緊迫した現地でのことを直に聞いた。
課題は、色々あろう。しかし、これを解決するのが「チーム」による搬送訓練と体制づくりだ。目標を定め、起こり得るであろう地震災害の広域医療搬送訓練に参加できたことは、今後の危機意識、傷病者搬送をする仕事でも大きなプラスになった。(日本福祉タクシー協会民間救急  はあと福祉タクシー)