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前回の記事で「ゆとり教育」とリオオリンピックの活躍を関連付けて書かせていただいてから、自分でもちょっと気になってその後の様子を見ていました。記事を書いてから数日後にこの紙面に掲載されるのですが、前回の記事がご家庭に配達された日は女子レスリングで金メダルを三個もとった朝でした。ただし残念ながらその夜の女子レスリングは少し振るわず、吉田沙保里選手も銀メダルでしたが、それでも大変立派なことだと思います。今回のオリンピックの代表が、「メダルの数では最高の結果」と会見していました。
インターネットの記事で、今回のオリンピックの結果と「ゆとり教育」は無関係ではないということを、どこかの大学の先生が言っているのを知りました。私の方が早くそれに気づいていたな、と少しうれしく感じました。「ゆとり教育」が日本の全国で同じように効果的に実施されたということは私も思っていません。現場の教員の力量によってものすごく差が出ていたことは確かなことです。ただし、「ゆとり教育」の風潮が、子どもの可能性を伸ばす教育環境を生み出していた、ということだけは確実に言えることだと思います。子どもたちがスポーツや文化に打ち込める時間を以前よりも多く持つことができるようになったはずです。また、子育てに明確な目標を設定しているご家庭では、「ゆとり」を活用して、いろんな可能性を追求できたはずです。その結果の一つが今回のオリンピックのその世代の活躍であり、おそらく数年以内には、科学や文化の世界でも「ゆとり教育」の成果は顕著になるだろうと思います。経済や政治の世界でも、「ゆとり教育」の世代が活躍し始めると、日本は危機的な現状を打開している可能性が高いでしょう。
幸いなことに、前回にも書きましたように、表面的には「ゆとり教育」との違い言われていますが、今回の始まっている教育改革が、内容的には「ゆとり教育」との連続性が極めて強いことは明白です。数年後に今回の教育改革が実行されるようになるときに、それを担うのが「ゆとり教育」の世代であることに、私は大きく期待をしています。さらに、まだまだ教育改革などは「ピンとこない」という親の世代、さらには祖父母の世代が、子どもや孫の教育について、自分の感覚だけで理解しようとしていると、大切な子どもや孫が学校教育のなかで活躍できなくなってしまうことを心配してしまいます。具体的に言えば、進学や就職で、せっかく「勉強」してきたことが評価されなくて、本人もご家族も途方に暮れてしまう、というようなことが起こる危険がたくさん残ったままになっています。
学校や学習塾が「宿題」を無責任に出してしまうことの批判は以前に書きました。たくさん「宿題」を出しておいて「自分で答えを見て丸をつけなさい」という学校や塾の先生たちは、ほとんど信用できないといっても過言ではありません。こういう私の考えを疑う方は、「問題の解答の仕方についてのわかりやすい説明」をしてもらうとよいでしょう。おそらく、その問題をわかりやすく説明できる先生はかなり少ないと思います。残念な先生の言い訳の言葉は、「そんなことは自分で考えなさい」「今は時間がないのでまた今度ゆっくり説明します」「わからなければやり方をそのまま覚えてしまいなさい」「答えさえ出せれば途中はどうでもいいのです」などなど。これらの言葉は、私が実際に子どもたちから聞いたものです。学校や塾の先生たちのなかに、このようなことを言っている人たちが確かに現存しています。「私の先生は、質問をする時間をわざと作らないで、質問させないようにしているみたいだ」という子どもさえいます。そういう先生たちが、ご家族のみなさんに対して、子どもについての「評論」をして、半ばご家族を「追い立てる」のですから、子どもたちの学力は「上滑り」状態になってしまいます。たくさんの「宿題」や「課題」を「こなす」ために、図式をきちんと書けないで答えだけ出す子どもや、本文を読まないで問題だけを読んで解答する子どもが、どんどんと生まれてきてしまいます。
私は学校の教員をしていました。その二十五年のほとんどを担任か専科で高学年といっしょに授業を創ってきました。ですからずいぶん前から気づいていたのです。知識や技能が「上滑り」をしてしまっていて内心は大変不安になっている子どもたちが相当にいることを。そのような子どもをどのように学校の授業で「救う」かに懸命に配慮し続けました。
先生と呼ばれる立場に必要なものは、教育力です。そのなかには、教える、という重要な要素もあります。どのような子どもに何をどのように教えて身に着けさせるかは、先生の教育力です。ご家庭では、先生の力量をちゃんと見極めなければなりません。いくら問題集が立派で教室も整っていてカリキュラムや学力「判定」の計画などがきちんとしているように見えても、子どもにとって重要な教育環境は、そこにいる先生の力量なのです。そのうえに最大の教育環境は、よりよい改革をする家庭なのです。 (伊東教育研究所)
2016年9月8日 AM 4:55
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