狭域通信制の私立高校『一志学園高校』(運営=学校法人玉村学園)は、一昨年閉校した津市立大井小学校=一志町大仰=の校舎3階に、今春開校。以前不登校や中退を経験し、学校生活へ再チャレンジする生徒を、「人の中で人を育てる」という教育姿勢や、個々に応じたカリキュラムで支援している。また今後、同校舎で活動する「NPO法人大井町づくり委員会」など、地域の団体・住民との交流も目指している。

 

 

玉村典久校長(一志学園高校の教室で)

玉村典久校長(一志学園高校の教室で)

旧大井小学校に開校した「一志学園高校」

旧大井小学校に開校した「一志学園高校」

『一志学園高校』=玉村典久理事・校長(58)=の前身は、NPO法人が運営してきた松阪市嬉野町のフリースクール「チャレンジスクール三重」。
玉村さんは、県立高校の教員時代、生徒指導に携わるなかで、既存の教育システムでは不登校生や中退者が高校生活に再挑戦できる場が十分ではないと感じたのを機に平成17年、同スクールを設立。以来、生徒の意思を尊重しながら学習・生活・進路をきめ細かくサポートし進学・就職など進路先へ送り出してきた。
そして市から旧大井小学校の校舎3階を借り今年4月開校し、同スクールで蓄積したノウハウを生かし運営しているのが「一志学園高校」。定員120名、生徒数は8月現在で62名。
同校でも、「以前学校になじめなかったが、再挑戦して頑張って勉強したり友達を作りたい」「進路についてもきちんと考えたい」という子供達を受け入れ、「人の中で人を育てる」という姿勢と、個々に応じた教育課程で支援している。
具体的には、通学は週5日が原則。多くの通信制高校は必要な登校日数が月に数回程度と少なく、きめ細かい指導が難しくなりがちで、生徒同士が関わる機会も少ない。一方、同校は生徒に同世代との集団生活を経験してもらうためにも、できるだけ登校回数を増やすよう促している。
ただし生徒の希望によっては通学日数についても、週1日土曜日に通うコースなどで柔軟に対応する。
また5種の履修モデル(①小学校のまなび直しから②中学校のまなび直しから③高校標準④文系大学進学⑤理系大学進学)を用意しているほか、各種検定に向けた授業も。生徒は「一志学園では、将来に役立つワープロ検定や漢字検定などの資格を取ることができます。友達と教え合うことで、コミュニケーション力もつきます」と話している。
さらに地元の夏祭りやボランティア活動に希望する生徒が参加し、幅広い世代の住民と関わり始めている。今後、校舎の主に1階で活動する「NPO法人大井町づくり委員会」=奥田吉信理事長=をはじめ、地域の団体・住民との交流に積極的に取り組む考え。
玉村さんは、「目標の一つ、高校設立は実現できましたが、まだまだ色々な子供達には対応できていないので今後、受け皿の一つとして一層充実させていきたい。地域との交流は、一方的に学校に協力してもらうのではなく、“協働”の形でできれば」、同委員会の理事・中川諭さんは「生徒さんに地域の運動会、新春元気交歓会などの行事にも参加してもらい、生徒さんと住民、お互いの理解を進めていきたい」と話した。
同校と地元の盛んな交流による教育の発展や、地域活性化にも期待したい。
なお同校は、28年度途中の転入学生を募集中。また29年度も新入生を受け入れる。学校見学も受付中。
問い合わせ☎059・271・6700へ。