2016年9月

前回の記事で「ゆとり教育」とリオオリンピックの活躍を関連付けて書かせていただいてから、自分でもちょっと気になってその後の様子を見ていました。記事を書いてから数日後にこの紙面に掲載されるのですが、前回の記事がご家庭に配達された日は女子レスリングで金メダルを三個もとった朝でした。ただし残念ながらその夜の女子レスリングは少し振るわず、吉田沙保里選手も銀メダルでしたが、それでも大変立派なことだと思います。今回のオリンピックの代表が、「メダルの数では最高の結果」と会見していました。
インターネットの記事で、今回のオリンピックの結果と「ゆとり教育」は無関係ではないということを、どこかの大学の先生が言っているのを知りました。私の方が早くそれに気づいていたな、と少しうれしく感じました。「ゆとり教育」が日本の全国で同じように効果的に実施されたということは私も思っていません。現場の教員の力量によってものすごく差が出ていたことは確かなことです。ただし、「ゆとり教育」の風潮が、子どもの可能性を伸ばす教育環境を生み出していた、ということだけは確実に言えることだと思います。子どもたちがスポーツや文化に打ち込める時間を以前よりも多く持つことができるようになったはずです。また、子育てに明確な目標を設定しているご家庭では、「ゆとり」を活用して、いろんな可能性を追求できたはずです。その結果の一つが今回のオリンピックのその世代の活躍であり、おそらく数年以内には、科学や文化の世界でも「ゆとり教育」の成果は顕著になるだろうと思います。経済や政治の世界でも、「ゆとり教育」の世代が活躍し始めると、日本は危機的な現状を打開している可能性が高いでしょう。
幸いなことに、前回にも書きましたように、表面的には「ゆとり教育」との違い言われていますが、今回の始まっている教育改革が、内容的には「ゆとり教育」との連続性が極めて強いことは明白です。数年後に今回の教育改革が実行されるようになるときに、それを担うのが「ゆとり教育」の世代であることに、私は大きく期待をしています。さらに、まだまだ教育改革などは「ピンとこない」という親の世代、さらには祖父母の世代が、子どもや孫の教育について、自分の感覚だけで理解しようとしていると、大切な子どもや孫が学校教育のなかで活躍できなくなってしまうことを心配してしまいます。具体的に言えば、進学や就職で、せっかく「勉強」してきたことが評価されなくて、本人もご家族も途方に暮れてしまう、というようなことが起こる危険がたくさん残ったままになっています。
学校や学習塾が「宿題」を無責任に出してしまうことの批判は以前に書きました。たくさん「宿題」を出しておいて「自分で答えを見て丸をつけなさい」という学校や塾の先生たちは、ほとんど信用できないといっても過言ではありません。こういう私の考えを疑う方は、「問題の解答の仕方についてのわかりやすい説明」をしてもらうとよいでしょう。おそらく、その問題をわかりやすく説明できる先生はかなり少ないと思います。残念な先生の言い訳の言葉は、「そんなことは自分で考えなさい」「今は時間がないのでまた今度ゆっくり説明します」「わからなければやり方をそのまま覚えてしまいなさい」「答えさえ出せれば途中はどうでもいいのです」などなど。これらの言葉は、私が実際に子どもたちから聞いたものです。学校や塾の先生たちのなかに、このようなことを言っている人たちが確かに現存しています。「私の先生は、質問をする時間をわざと作らないで、質問させないようにしているみたいだ」という子どもさえいます。そういう先生たちが、ご家族のみなさんに対して、子どもについての「評論」をして、半ばご家族を「追い立てる」のですから、子どもたちの学力は「上滑り」状態になってしまいます。たくさんの「宿題」や「課題」を「こなす」ために、図式をきちんと書けないで答えだけ出す子どもや、本文を読まないで問題だけを読んで解答する子どもが、どんどんと生まれてきてしまいます。
私は学校の教員をしていました。その二十五年のほとんどを担任か専科で高学年といっしょに授業を創ってきました。ですからずいぶん前から気づいていたのです。知識や技能が「上滑り」をしてしまっていて内心は大変不安になっている子どもたちが相当にいることを。そのような子どもをどのように学校の授業で「救う」かに懸命に配慮し続けました。
先生と呼ばれる立場に必要なものは、教育力です。そのなかには、教える、という重要な要素もあります。どのような子どもに何をどのように教えて身に着けさせるかは、先生の教育力です。ご家庭では、先生の力量をちゃんと見極めなければなりません。いくら問題集が立派で教室も整っていてカリキュラムや学力「判定」の計画などがきちんとしているように見えても、子どもにとって重要な教育環境は、そこにいる先生の力量なのです。そのうえに最大の教育環境は、よりよい改革をする家庭なのです。 (伊東教育研究所)

前川さんに記念品の時計を渡す前葉市長(左)

前川さんに記念品の時計を渡す前葉市長(左)

8月28日、老人の日(9月15日)を前に、津市の前葉泰幸津市長が市内の最高齢者宅を表敬訪問した。
初めに前葉市長は、船頭町にある男性最高齢で明治45年生まれの前川長九郎さん(104)宅へ。
前川さんは旧平谷村(現多気町出身)。第2次大戦中には、野戦郵便隊の軍属として西ティモール島へ渡った。そこで軍に同行しながら、軍人たちの給与を預かる貯金担当として多忙な日々を送った。敗戦後、無事に日本に帰国。郵便局員として津市や鈴鹿市の郵便局に勤務しながら定年まで勤め上げた。平成7年には自身の戦中体験をまとめた「野戦郵便隊の記録」を自費出版している。現在は介護サービスを利用しながら一人暮らしを続けている。
前川さん宅を訪問した前葉市長は年齢を思わせないしっかりとした前川さんの立ち姿を見て「お会いできて嬉しい」と笑顔。前川さんに長寿の秘訣や最高齢になった理由を尋ねると「子供の頃から級長をやったり人と違っていたので、そうなると思っていたかもしれない」とユーモアたっぷりの返しをした。その後、戦時中の体験など、しばらく談笑を楽しんだ後に記念品の時計を手渡した。
前川さん宅を後にした前葉市長は、女性最高齢の明治42年生まれの石上マサエさん(107・美杉町)宅を訪問していた。

「高野尾花街道 朝津味」=津市高野尾町=は農業をテーマとした地域振興をめざしており、その方策について三重大学と㈱赤塚植物園が共同研究を進めてきたが、今月新たな2つの研究会を設立する。伊勢別街道を軸とした文化・観光を軸にした地域連携と、新たな地域の特産品として栽培を進めるヨモギをテーマに地域振興への取り組みを進め、官学協働による更なる発展をめざしていく。

 

新たな特産品化をめざすヨモギの試作品

新たな特産品化をめざすヨモギの試作品

今年7月にオープンした朝津味は、農業を軸に高野尾地区や周辺の活性化を目的とする施設。地元の農家たちが野菜を出品する県下最大級の農産物直売所や、その新鮮な野菜を使った料理が楽しめるフードコートがあるため、大勢の人で賑わっている。また今月終わりには隣接する赤塚植物園の「ヒーサーの森」もオープンとなり、今まで以上の人出が期待されている。地元の農業者を中心に立ち上げた同施設の運営会社である㈱フューチャー・ファーム・コミュニティ三重(FFC三重)の設立前より、三重大学と㈱赤塚植物園は農業による地域振興をめざすための方策を共同研究してきたが、更に新たな観点での地域振興をめざす2つの研究会を今月設立する。
その研究会の一つは「地域連携ゾーン 文化・観光研究会(仮称)」。同施設にはかつてお伊勢参りに向う人々で賑わった伊勢別街道に面した地域に立地しており、同地域が街道と共に発展してきた歴史風土に着目し、新たな地域連携を図っていく。具体的には名古屋と大阪という二大都市からの集客にも繋げられる名阪国道の関インターから街道に沿って、石山観音・楠原・椋本・朝津味・高田本山専修寺と寺内町を、更に三重県総合博物館を中心としたエリアや、椋本からの分岐を経由した温泉群(湯元榊原舘・猪の倉温泉)を結んだ地域連携ゾーンを形成し、交流人口の増加をめざした観光交流を立ち上げる。研究会の構成は三重大学・赤塚植物園・FFC三重・県・県総合博物館・温泉群・旅行業者など。更に研究会にもオブザーバーで参加する観光ボランティアガイド団体の案内による伊勢別街道周辺めぐりの実施を検討。地域の民話等を人形劇や紙芝居で伝えたり、来年度には花と温泉がテーマシンポジウムも企画中。
そして、もう一つ設立するのは「ヨモギ栽培研究会(仮称)」。高野尾地域の新たな名物づくりと不耕作地約28ヘクタールの解消の両立をめざし、ヨモギの栽培を進めており今年4月に初めて収穫。新芽をペーストにして同施設で草餅として販売しており、好評を得ている。その一方、周囲の和菓子店や㈱井村屋などからも安全で品質の高い国産のヨモギを求める声が上がっているため、新たな商品化と共に6次産業化を踏まえて研究を進める。ヨモギは栽培に大がかりな機械や設備の必要もなく、地域の高齢者も労働力として活躍できる点でも期待されている。今後は、野菜と比べると成分分析や食品としての機能性などの学術的な研究を進めていくと共に企業とタイアップした商品化なども視野に入れて研究していく。研究の構成団体は三重大学・赤塚植物園・FFC三重・三重県・井村屋・地域農業者。立ち上げに当たって、ヨモギの栽培研究で先端をいく千葉大で調査を実施するなどの準備を進めている。さらにペースト化に適さない葉や茎が少し硬くなる時期のヨモギを粉末にし、商品試作してみたところ味や香りの良さから好評という。
今後の研究の結果次第で様々な商品が生まれていく可能性もあり、栽培の中心となって尽力する地元農業者で研究会の会長に就任予定の田中康章さん(67)は「ヨモギが農業者の収益となれば、後継者不足など地域の問題も全て解決する」と話す。
朝津味も今月27日にヒーサーの森のオープンを迎えると、いよいよ本来の集客能力を発揮することなる。その中で、産学連携による農業での地域振興という先進的なテーマをベースにした文化・観光の盛り上がりや新たな特産品を生み出そうとする両研究会への期待は大きい。

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