めったにないことだから、一人の夕食がうれしい。鍋に残った豚汁を温め、ご飯を投入する。煮立ったら卵を割り入れて、もう夕ご飯の出来上がり。熱々のおじやをふーふーしながらいただくと、お腹も心も温かく満たされた。
何十年もの間、毎日ご飯を作っていると、たまには休みたくなる。料理が嫌いというわけではない。手早さにも自信があって、三十分もあれば、何皿もテーブルに並べることができる。だけど、毎日のことだからたまには休みたい。外食に出かけるのも面倒で、さらさらとお茶漬けとか、ご飯に漬物とか、おじやで一食を済ませたい。
でも、家族がいるとそうはできない。手の込んだごちそうではなくとも、健康によくておいしくて、昨日とは違うメニューをテーブルに並べる必要がある。
自営業の友人も同じことを言っていた。三度三度何十年、少しは休みたい。サラリーマンの場合は、定年をきっかけに夫の料理デビューとなることも多いが、自営業ではそれもない。「僕のご飯は?」と問われれば、料理担当は出かけることさえ遠慮してしまう。
友人の食べたいのは、一人でさらさらお茶漬けであり、残り物で作ったおじやである。たぶん家族は、こうしたささやかな願いに気づいていないだろう。たかがおじやで味わえる喜びもあるというのに。(舞)