津市立誠之小学校=津市久居西鷹跡町=の児童とその保護者たちによる任意団体『げんキッズ』はバスケットボールを通じ、児童の心身と共に地域愛を育む新たな試みを行っている。他チームとの試合は行わないため、活動は団体の中だけで完結しているのが特徴。少子化と習い事の多様化によって児童を取り巻く様々な既存コミュニティが衰退するという時勢に反し、人気を博す理由は〝楽しさの連鎖〟にあった。

 

「げんキッズ」に所属する児童と保護者

「げんキッズ」に所属する児童と保護者

『げんキッズ』は平成27年2月に、代表者兼コーチを務めている奥田浩明さん(41)が設立。奥田さんは同校のPTAであると共に久居地区の在住・在勤の若者たちによる団体「久居げんき会」の中心メンバーとしても活躍しており、そこから派生する形でげんキッズが誕生した。
子ども会といった児童を取り巻く既存のコミュニティは、少子化と習い事の多様化によって衰退の一途を辿っている。それに伴い、地域コミュニティが希薄化し、長い目で見れば人口流出に繋がるという問題を秘めている。同小の児童を対象にしているげんキッズではバスケットボールの指導を通じて、児童の心身と共に地元を愛する気持ちを育むことを目的に毎週月曜日と木曜日の夕方に同小の体育館で活動をしている。
スポーツ少年団などとの最大の違いは他チームとの試合を一切行わず、活動が自己完結していること。技術の向上に向けた指導は行うものの、楽しむことを主眼に置いているのも特徴。もちろん、然るべき場面ではきちんと叱るなど、メリハリのある指導も行い、集団行動で必要な心構えも伝える。その上で学年を超えた交流を楽しんでおり、中学校でバスケットボール部以外の部活に入っている卒業生も時折、後輩の指導に訪れている。
指導者も最初は、奥田さん一人だったが、意欲的な児童の保護者が運営に係わっており、児童と同じく楽しみながら活動している。現在は、児童25名が所属しているが、指導の手が回らないため、来年の新入生まで新規入会を断っている状況が続いている。活動を地元のみに限定したことと、他と競わない方針が結果として、児童と保護者の負担を軽くし、心から楽しめる環境づくりに繋げられているという見方もできる。
げんキッズに入っている5年生の松林那旺くん(11)と小田琉司くん(11)は「みんな仲良くて楽しい」と笑顔。奥田さんは「子供たちが大人になった時、げんキッズに戻ってこられるような場所づくりをめざし、活動を続けていきたい」と語っている。
地方の人口流出は深刻な問題で、学校の教育だけではカバーできない児童を対象にした地域愛を育む草の根活動は非常に重要な意味を持つ。児童と保護者が共に全力で楽しめる環境を整え、その〝楽しさの連鎖〟をつなげていく中で、将来の地域を支える子供たちを育てようとするげんキッズ。その取り組みはまだ始まったばかりだが、今後の展望が非常に楽しみだ。

支部大会で津市をPRする津ぎょうざ小学校のメンバー

支部大会で津市をPRする津ぎょうざ小学校のメンバー

先月24・25日に福井県坂井市であった、ご当地グルメを使ったまちおこしの祭典「B─1グランプリ」支部大会で、津市の市民活動団体「津ぎょうざ小学校」=メンバー約50名。以下、津ぎょ小=が、来場者の投票で決まるゴールドグランプリ(優勝)を受賞した。
津ぎょ小は、学校給食発祥の津のご当地グルメ「津ぎょうざ」を生かしたまちおこし活動として、「小学校」がコンセプトの賑やかなパフォーマンスを同GPなどで披露している。これがGP出展を重ね除々にステップアップしたことが、今回の受賞に繋がった。
このパフォーマンスの特長は、津をしっかりPRし演者自身が心から楽しむと共に、GP開催地を盛り上げ、現地の住民など来場する人に笑顔になってもらえるよう来場者目線で入念に考えられていること。津ぎょ小の生徒会長・原田浩治さんは「受賞などで津ぎょうざが少しでも有名になることで、津の子供達の地域愛や、将来、津のために何かしたいというアイデンティティに繋がれば。
これから津ぎょうざに関わりを持ってもらえる地域の人をもっと増やし、さらに大きなまちおこし活動にしたい。将来的には、B─1グランプリ支部大会や本大会を津で開きたいです」と語っている。
また今回の津ぎょ小の出展に、津ぎょうざ協会所属の飲食店「ラーメンいたろう」「麦 一等兵」がボランティアで参加。同協会会長でいたろう店主の森正章さんは「津ぎょ小の活動に感謝と敬意の気持ちで、毎回参加させてもらっています」と話した。

そば好きに朗報!
津市久居明神町風早(三重中央医療センター西側)の手打ちそば処「御嶽」に今年も「新そば」が登場。蕎麦の産地で知られる長野県安曇野産の採れたての蕎麦と、こだわりの水を使用した、香り高い新そばが堪能できる。ざる、かけが各750円。そのほかメニューあり。問い合わせは☎059・255・2555。水曜定休。

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