文部科学省が九月二九日に結果を公表した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)で、三重県の平均正答率が初めて国語Bと算数Aで全国平均を上回ったという記事が掲載された。これは子ども達の頑張りとともに、現場の先生たちの努力に因る部分が大きいのではないかと考える。
大川学園義塾では平成十九年に学童トムソーヤを開設し、基礎学力の強化、特に国語力の強化に努めてきた。子ども達はトムソーヤに到着すると、まず学校の宿題を行う。これは学習習慣の定着をねらってのことである。学校の宿題である音読もトムソーヤで力をいれて指導している学習の一つである。何故なら、音読は国語力をつける第一歩だと考えているからだ。正しく文章を理解するためには、正しく読むことは必要不可欠である。
また学校の宿題だけでなく、塾専用教材(国・算)、家庭から持参した教材などで子ども達は学んでいる。時には保護者のニーズに合わせて他塾の宿題を指導することもある。子ども達の勉強時間は平均して二時間、高学年になると午後六時まで勉強している子が大半を占める。これが月~金まで毎日行っている内容である。サポートするのは、義塾教員や元小学校教諭等である。学習面・生活面については個人カルテに記入して、子ども達一人ひとりに最適な対応をするために毎日話し合いを行っている。
昨年度トムソーヤを卒業した二名が義塾中学部に入塾した。義塾では一クラス十名以下という少人数制をとっている。一人ひとりを大切に見ていきたいという思いからである。中学部においてもトムソーヤ同様、生徒一人ずつについて毎日話し合いの時間を持っている。中学生は多感な時期でもあるので、学習だけでなく学校生活や友人関係においても悩みを抱えている。それが学習にも影響を与えている。義塾の教員はその悩みに寄り添い、時には叱咤激励して生徒たちの目標達成に尽力している。
そのような日々の学習において、トムソーヤの卒業生二名が今年の夏期講習最終日に行った模擬試験の英国数三教科で、それぞれ三重県四位、十三位という成績を残した。
学童トムソーヤからの流れで一名は四月より毎日当学園の塾を利用している。中学部においても英数だけではなく、国語も必修教科とすることで国語力の強化に努めている。これは全ての教科の土台は国語であるという考えからである。今回の学力テストにおいても、中学校の数学Bは三重県も正答率が低く、資料を読み解く能力、論理的に物事を捉える能力の不足が窺える。これらの能力は中学校だけでなく、その後の学習内容の習得や社会に出てからも必要となってくる。
学童トムソーヤ、義塾中学部に現在通っている子ども達が大人になる時代は、生き抜く環境は現在よりも更に厳しさを増すだろう。その時に問われるのは自らに積極的に働きかけ、自らが学ぶ力なのではないだろうか。今後も小学生、中学生の教育に携わる者としてこれらの力を身につけている人材を育てていきたい。
(学童トムソーヤ・大川学園義塾長)