2016年11月

12月4日・5日、津市芸濃町椋本の津市芸濃総合文化センターホールで、坂手洋二描き下ろし・演出、竹下景子主演の劇団・燐光群による舞台『天使も嘘をつく』が上演される。主催=燐光群・㈲グッドフェローズ・芸濃町を芸濃い町にする会。共催=津市自治会連合会芸濃支部。後援=津市・津市教委・本紙ほか。同会の伊藤裕作さんの人脈を生かし、町内で個性的な演劇作品を上演し続けており、今回も注目を集めそうだ。

 

座・高円寺での公演初日を終えた坂手さん(左)と共に…伊藤さん

座・高円寺での公演初日を終えた坂手さん(左)と共に…伊藤さん

伊藤さんは 津市芸濃町椋本出身。大学進学以来、東京を拠点に長年、文筆家として活動を続けている。還暦を機にふるさとの芸濃町と東京を行き来しながら、自らの人脈を生かし東京の劇団を招いて公演を行ったり、津市無形文化財である椋本獅子舞の継承に奮闘する人々の姿を捉えた映画「獅子が舞う」を制作した。更に、日本で唯一の芸濃町という名前に着目し、「芸濃町を芸濃い町にする会」を地元有志と共に設立。事務局長として活躍し、昨年10月には会の旗揚げとして「流山児★事務所」による『西遊記~JOURNEY to the WEST~』を上演。今年5月、地元の東日寺境内に一から野外舞台をつくりあげた水族館劇場の公演は1700名以上の観客を動員している。それら活動の成果として伊藤さんは今月10日に、鈴鹿土曜会と三重文学協会から斎藤緑雨文化賞を受賞。同18日には津市の文化奨励賞も受賞している。
今回、芸濃町で上演する女優・竹下景子さん主演の劇団燐光群による舞台「天使も嘘をつく」は、同劇団の主宰で長年にわたり日本劇作家協会の会長を務めた坂手洋二さんの描き下ろし・演出。東京・名古屋・岡山・兵庫でも上演されるが、坂手さんと伊藤さんが30年来の親交があるため、芸濃町での公演が実現した。坂手さんは、同性愛をテーマにした「カムアウト」や、ゴミというものを軸に東京で生きる人々の孤独を強く照らし出す岸田國士戯曲賞受賞作「ブレスレス」など、リアルタイムで起こっている社会問題をベースにした劇作で知られる。
今回上演する「天使も嘘をつく」で、竹下さんが演じるのは映画監督のクリモトヒロコ。日本の南西にある自然環境が豊かな離島ニシワキ島で当初はメガソーラーの建設計画に反対する住民運動の映画を撮影していた。しかし、計画の裏に隠されていた自衛隊の配備計画と対峙していくことになるというストーリー。
18日、東京都の座・高円寺であった公演の初日を終えた竹下さんは「これほどタイムリーな芝居は世界中のどこにもない。舞台のベースとなっている沖縄の離島で起こっている問題は、自然と共に生きてきた人たちをすくい取っていく。実際に起こっている超現実的なテーマを、非日常である劇場に持ち込んでいくのが坂手さんならでは。三重の人にもより良い公演をお届けできたら」と意気込みを語った。坂手さんも「舞台を通じて、今の日本で起こっていることを良いことも悪いことも含めて知ってほしい」と話している。
公演は12月4日15時開演、5日19時開演の2回。チケットは全席自由席。受付開始は開演1時間前。客席開場は開演の30分前。前売は舞台に近いS席3000円(4日分は完売)。A席2000円。当日券2500円。前売券は芸濃地区社協☎津265・4890、津市商工会芸濃支所☎津・265・2304、芸濃町を芸濃い町にする会☎080・9426・0225へで販売中。
公演についての問い合わせは芸濃い町にする会へ。

三重大学の持つ知識を一般と共有しようと各分野の専門家を招き隔月ペースで開いている津市・津市民文化祭実行委員会主催の三重大学シリーズ、第70回文化講演会?「発見塾」が11月26日(土)13時半~15時、津リージョンプラザ2階健康教室で開かれる。主管=津文化協会。後援=同大学、本紙。
講師は同大学教育学部の余健教授。演題は『三重県方言の特徴から見えてくる世界─地域の特性を中心に─』。余教授は、「『ものもらい』や』(机を)運ぶ』『(ご飯を)よそう』などの方言の語源や、意味変化の過程を確認していくことを通じて、三重県らしさが垣間見えてきます。気づき難い方言や三重県内で確認される方言の地域差や、その地域差が生まれる要因も方言調査の結果に基づいて具体的に考えます」とコメント。
入場無料、事前申込み不要。直接会場へ。問い合わせは事務局☎090・1236・1144辻本さん。

「よみがえる津城」と共に…左から前葉市長、永都さん、髙橋さん、西田会長

「よみがえる津城」と共に…左から前葉市長、永都さん、髙橋さん、西田会長

12日、日本画家、院展院友の永都叶千さん=60、名古屋市=が自作の絵画「よみがえる津城」を津市に寄贈した。
永都さんは日本画を習得する過程で歴史画についても学ぶ機会がありモチーフとなる人物を調べている内に津藩祖・藤堂高虎公と出会った。以来、文化の象徴ともいえる建築技術に長け、徳川家康と共に戦乱を終わらせ平和な世の中を築いた高虎公に対して敬慕の念を抱いている。
寄贈作品は織田信包による五層天守閣が夕陽に染まる様子、広大な堀に囲まれた高虎の津城の威容が朝日によって水面に映し出される様子をパステルや水彩、顔料などを駆使した和洋混合技法による精密な筆致で描き出した2点で構成。縦49㎝・横91㎝の額縁に収められており、今月5日に津市センターパレスホールで開催された高虎サミットin津の会場でも展示された。
永都さんは寄贈の仲立ちをした髙橋雅士さん=南丸之内=と「津城復元の会」の西田久光会長と共に津市役所の前葉泰幸市長を訪問。寄贈を受けた前葉市長は感謝すると共に、色々な機会で披露したいと語った。
永都さんは「お城は街のシンボルで、描きたいという思いがあった。絵を通じて市民の皆さんが城に対するイメージを持って頂く一助になれば」と話し、いずれ津城を描いた屏風絵のような大作も手掛けたいと意欲をみせた。

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