5日、津市センターパレスホールで、新津市誕生10周年記念「第9回高虎サミットin津」が、藤堂高虎公ゆかりの6市町が参加し盛大に開かれた。今回は公の義理の息子で公から強い影響を受けたとされる、大名・茶人・作庭家の「小堀遠州」を取り上げ、「城づくりの名手」であったと同時に「人づくり」にも長けていた公の新たな人物像について関係者らが活発に意見を交わした。主催=同実行委員会、津市。

 

高虎公ゆかりの地、6市町の首長らががっちり握手

高虎公ゆかりの地、6市町の首長らががっちり握手

同サミットが津市で開かれるのは、平成10年の第1回と同20年の第5回以来、今回で3回目。津市をはじめ、甲良町(滋賀県)・名張市・伊賀市・宇和島市(愛媛県)・今治市(愛媛県)の6市町の首長・幹部職員らとオブザーバー参加の長浜市や来賓も多数出席。また、藤堂宗家15代・髙正氏と弟の髙幸氏も来津。
開会セレモニーでは、開催地である前葉泰幸津市長が「高虎サミットでは高虎公の偉業(まちづくり・海運・物流など)を確認しながら今後のまちづくりの参考にするのが目的でもある。今回は公の人脈について議論したい」と挨拶。
また、ゆかりの地の首長の挨拶の後には、津市指定無形民俗文化財である八幡獅子舞・入江和囃子も披露された。
続いて、茶道文化研究者の深谷信子氏が「藤堂高虎と小堀遠州の人脈と寛永文化」と題して基調講演(詳細は別

安部龍太郎氏も参加

安部龍太郎氏も参加

項)。
パネルディスカッション「藤堂高虎の人づくり」では、サミット実行委員長の藤田達生三重大学教育学部長をコーディネーターに、直木賞作家の安部龍太郎氏、深谷信子氏の両パネラーが意見交換。
冒頭、藤田氏が築城の名手であり、徳川幕府の成立に貢献した高虎公の生涯と功績を改めて紹介。同郷出身で京都の屋敷も隣同士で親密な関係にあった小堀正次・遠州父子が人脈づくりのために茶会を開いてきた重要性を指摘した。
安部氏は、遠州が朝廷の影響が強い西国で茶会を開くことの意味について「酒宴を中心に人脈が築かれていた公家社会を突き崩すために、武家社会の象徴的な文化である茶会をもってきた」と解説。
深谷氏は江戸幕府の運営を安定させるために果たした遠州の功績を語った。
パネルディスカッション後、前葉市長が「高虎公ゆかりの地を絆とし、それぞれの地域の特性を生かしたまちづくりを目指して、
①全国に残る高虎公の有形無形の業績を守り伝えると共に次代に引き継ぐ担い手となる②高虎公ゆかりの地に住まう私達は、まちを訪れる人や、そこに暮らす人々のために心をつなげ、魅力あるまちづくりを推進する③偉業を万人共通の至宝とするため、NHK大河ドラマドラマの実現など多様な手法により、全国に発信するよう努める、以上3点の実現に向け、日々努力を重ねることを確認し宣言する」としたサミット宣言を披露し、前葉市長から2年後の第10回サミット開催地・甲良町の北川豊昭町長に開催旗が手渡された。

講演する深谷氏

講演する深谷氏

深谷氏は茶人として著名な小堀遠州が徳川幕府の畿内の官僚として活躍した生涯を解説と共に紹介した。要旨は以下。
遠州の父・正次と高虎公は共に近江国出身で共に豊臣秀長に仕え、高虎公は主に軍事で活躍する一方、正次は大和・紀伊・和泉の三国にまたがる広大な領地の検地を実施。官僚としての能力を磨き、慶長5年(1600)の関ヶ原の戦い後、大坂方の勢力が強い備中の国奉行に就任。徳川の畿内支配に貢献した。
慶長9年(1604)に正次が死亡し、高虎公の娘婿である遠州が家督と国奉行を継いだ。遠州は作事奉行として後陽成院御所・駿府城や名古屋城などを手掛け、大坂両陣後の上方郡代として畿内の広域支配を行った。その後、大御所・徳川秀忠と御所・徳川家光の両御所の上洛時の統括などを実施。家光の親政期には畿内以西の政治と軍事を司る上方八人衆に抜擢。将軍や幕閣に触れ合う機会が増え、人脈が更に広がった。大飢饉が起こった際には飢餓対策奉行として活躍。晩年は伏見奉行として奉行屋敷の茶室で茶の湯三昧の生活を送った。
これら官僚として活躍する合間に、生涯400回以上の茶会を開催。将軍の側近・幕閣・大名・公家・大寺社僧・文化人・医師・職人など、のべ1500人近くを客として招き、政策の実現に役立てた。高虎公はその茶会によって築かれた全国にまたがる人脈を幕府運営に活用。幕府が260年も安定した政権運営を行える基盤となった。

左から、田村副会頭、辻副会頭、岡本会頭、上田副会頭、小柴副会頭

左から、田村副会頭、辻副会頭、岡本会頭、上田副会頭、小柴副会頭

津商工会議所は1日、津都ホテルで行われた臨時議員総会で、任期満了に伴う役員改選、常議員の選任を行い、会頭に三重交通グループホールディングス㈱代表取締役会長の岡本直之氏(69)を再任した。任期は3年。
岡本会頭は就任挨拶で  ①1期目の目標である「誰からも選ばれる街づくりの推進」「定住・交流人口の増加」「社会貢献活動の推進」のさらなる深堀と進展、定住人口と交流人口の増加等による選ばれるまちづくりの推進として、センターパレス内に福祉施設、付近にビルの新築など中心部の整備が進み、工業団地にも新たな企業が進出。津波避難ビル、津波避難協力ビルに会員企業も協力し、住みやすく、働きやすい、そして安心・安全な街づくりに貢献することで街の魅力が向上し、結果として定住人口の増加に繋がるとした。
また「津まつり」の支援、ふるさと読本「知っておきたい津」の発行など、新たな魅力の掘り起し、今ある魅力の深堀と、それらの情報発信などで社会貢献活動することで、「お役に立つ商工会議所」を目指す、と述べた。
また、②「中小・小規模事業者への支援強化」では、元気な企業づくりとして、天むす、みそかつなどは津が発祥の地、DNAが受け継がれている津には旺盛な企業家精神がある。従来の経営相談に加え、昨年国より認定を受けた「経営発達支援計画」に基づく経営支援など、中小企業・小規模事業者への伴走型の支援を強化し、地域事業者に「寄り添い、アシストする商工会議所」を目指す。
さらに③「津市との連携強化、コラボレーション」では、津市は平成30年度からの新津市総合計画の策定に取り組んでいることから、次期総合計画を見据え「まちの魅力を高める」政策提言活動を行う。
津市産業・スポーツセンター(来年10月オープン、サオリーナ、三重武道館、メッセウイング・みえ)は地域活性化の起爆剤の一つであり、中心市街地、津なぎさまちなども含め、津市、県、大学などと連携し活性化に取り組む。専務理事に前副市長の葛西氏が就任し、津市と今まで以上に連携を深め、市と会議所が両輪となり地域の発展に努めていくことで、「行動する商工会議所」を目指す。
今後も会員の大部分を占める中小企業・小規模事業者に軸足を置き、そのニーズをしっかり汲み上げながら『お役に立つ、そして寄り添い共に行動する商工会議所』として活動したい、と挨拶した。また、副会頭4名の内、㈱三重電子計算センター代表取締役社長の小柴眞治氏(61)と、㈱ZTV代表取締役副社長の田村欣也氏(57)を新任。㈱辻工務店代表取締役の辻正敏氏(64)と㈱百五銀行代表取締役会長の上田豪氏(65)の2名は再任された。

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