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2016年11月
(前回からの続き)
「ケンブリッジ大学にいた頃、同僚のある数学者に『英国紳士であるための最重要条件は何か』と聞いた。彼は少し考えてから『ユーモア』と断言した。
出自、マナー、教養、気品などかなと思っていた私は意表をつかれた。数学では天才的だが、歩いていて歩調が合わなくなるのか時々スキップするという変わった男だったから、他の人々にも確かめてみようと思った。
それ以降、私は一定の地位にある学者、政治家、経済人など30名ほどの英国紳士にこの話をし意見を聞いてみた。
皆が異口同音に賛意を表した。ユーモアがないと、どんな地位や経歴や財産があっても紳士とみなされないという。一定レベル以上の人々にはまともな相手と見なされないということだ。程度の差こそあれ、広く欧米ではそうだから、政治家や外交官に限らず欧米人と折衝にあたる人々はユーモアを心がけることだ。「オバマであろうとプーチンであろうと笑わせてしまえば勝ちなのだ。一気に心が通じ合う」。〔出典『グローバル化の憂鬱』藤原正彦〕
ある時、一人の英国紳士が「壁にかけてある日本の浮世絵の文字には何と書いてありますか。その意味を教えてくれまいか」と私に尋ねた。
その草書体で書かれた文字の意味が分かるほどの教養をこちらは持ち合わせていない。それで私は「『ニンニクは男どもを好色にする』と書いてあります」と返答した。くだんの紳士はにんまりと笑みを浮かべた。これで一件落着となった。「この日本人、なかなかユーモアのセンスがあるなあ」と思ってくれたに違いない。
英語圏では一国の大統領、指導者ともなると、必然的にユーモア精神の資質が問われることになります。話は古くなるが、故ケネディー大統領が大統領に選出された時、The pay is good, and I can walk to work.(給料がいい、しかも職場に歩いていける)といった。
このジョークを大衆は大いに歓迎した。ホワイト・ハウスの主人公たるものが、大統領に選ばれた感想をきかれて「職場に歩いて行ける」といったのだからたまらない。
さて、一国の指導者にユーモアの精神を期待するということは、国民の側にもおおいにユーモアの精神があるということである。「新しい労働党」をスローガンに颯爽と登場したトニー・ブレア首相は難なく再選された。しかし、ジョークの世界では、ブレア首相は徹底的にこきおろされた。「ロンドンの官庁街を『トニー・ブレアは邪悪な独裁者だ』と大声で叫びながら歩いていた男が逮捕された。その男は、3年間投獄されることとなったが、1年は名誉毀損のため、あとの2年は国家秘密を漏らしたことによる罪である」とかなり辛辣なジョークだが、「健全なユーモア精神に健全な批判精神がやどる」と言わざるを得ない。
「ユーモアの効用について語るときに、コミュニケーションの潤滑油としての効用にも触れないわけにはゆかない。それは、日常生活、男女の間、ビジネスの世界、はては各国の首脳どうしの会談という世界にいたるまで、ユーモアはすぐれて人間関係をスムーズにする調整剤の役割を果たしているからである」〔出典、『英語ジョークの教科書』丸山孝男〕。
これはいささか古い話だが、イギリスとアルゼンチン間のフォークランド紛争の最中、サッチャー首相にこんな話があります。「ニューカッスルで香港の船舶王、Y・Kパオ氏の発注した輸送船の進水式がおこなわれた時のことである。
この輸送船が不況に喘ぐ造船界に活を入れてくれたとして、サッチャー首相は進水式にかけつけ、シャンパンを船腹にふりかけて門出を祝った。
その時に、「この船はフォークランドへの輸送を助けなくても、英国造船界を助けた」とスピーチ。フォークランド紛争の最中のこの発言に、満場に爆笑がわいたという。〔『毎日新聞』1982年9月21日〕
最後のソ連共産党書記長のミハイル・ゴルバチョフが外人記者から「貴方は共産党の中で最も急進的な考えの持ち主だと聞いています。しかし重要な決定に際し、貴方を支配する強大な支持者(共産党)に相談しないわけにはいかないでしょう?その支配を超えて決断ができるのですか?」。 ゴルバチョフは「君はなんだってこんなところで、妻の話を持ち出すんだ?それに、一体どうすれば妻をコントロールできるっていうんだ?」。
これはアメリカのクリントン夫妻が、故郷のアーカンソー州をドライブしていると、偶然ひなびたガソリンスタンドを経営したヒラリーの昔のボーイフレンドに再会した後の会話。
ビル・クリントン『君は僕と結婚してよかったね。もし彼と結婚していれば、今頃君は田舎のガソリンスタンドのお嫁さんだ』、ヒラリー・クリントン『もし私が彼と結婚していたら、彼がアメリカ合州国の大統領よ』」。
(次号に続く)
(津市在住。英語、英会話講師)
2016年11月24日 AM 4:55
12月11日13時~15時、津市榊原町の旅館・清少納言でフィンランドの伝統的な装飾品のヒンメリをつくるワークショップを開催。
主催の榊原未来会議=煙ヶ谷博美会長、会員16名=は、榊原地域に住む若人が地域活性化を目的に様々な事業を行っている。今回は会員の越野香織さん(写真右)が講師となり、藁を組み合わせてつくる繊細かつ幾何学的なデザインでクリスマスの装飾品としても人気のヒンメリをつくる。
定員は先着20名(親子での参加も可)。参加費は2500円(スイーツ&温泉入浴券付)。
問い合わせ・申し込みはEメール=sakakibara.mirai@gmail.comもしくはフェイスブック上の榊原未来会議のページより。
2016年11月24日 AM 4:55
三重県立美術館で12月11日(日)まで開催している「石垣定哉展」の招待チケットを本紙読者5組10名にプレゼント。
希望される方は、ハガキに①郵便番号②住所③氏名④年齢⑤職業⑥電話番号を明記して、〒514─0028、津市東丸之内26─12、三重ふるさと新聞「石垣定哉展」係までご応募下さい。
Eメールでの応募は、同様の内容を明記して furusato@ztv.ne.jpまで送信して下さい。当選はチケットの発送をもって代えさせて頂きます。締切りは12月1日必着。
問い合わせは本紙☎津222・3330まで。
2016年11月24日 AM 4:55