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新津市が誕生してちょうど10年を迎える記念すべき年だった昨年から新たな一歩を踏み出すこととなる今年の市政の課題と展望や、伊勢志摩サミット後で盛り上がる県内で津市が打ち出す観光政策、南海トラフ地震を始めとした様々な災害に対する防災、今年10月にオープンの「サオリーナ」などで構成する津市産業スポーツセンターなど、前葉泰幸津市長に聞いた。 (聞き手=本紙報道部長・麻生純矢)
─昨年は、旧10市町村が 合併し新津市が誕生して10周年という記念すべき年でしたが、これまでは「一体感の醸成」というのがキーワードとなってきました。ようやく津市が長い歴史を刻んでいく上で最初の一歩を見出した段階にあるように思います。市長は地域懇談会にも精力的に参加され、市民から様々な声が寄せられていると思いますが、これからの10年を歩んでいく上で取り組むべき課題と、新たなキーワードを教えて下さい。
市長 最初の一歩と言って頂くのは身の引き締まる思いです。職員にも話すのですが、合併の時に決められていたまちづくりを完了するのがほぼ10年と予想される中で、これをしっかりとやるのが市役所の目標でした。それがほぼ出来上がってきた。これからが、いよいよ自分の足で歩みを始めるという段階です。新しい総合計画を作る上でも、いま動いている計画は、新市まちづくり計画をどのように実行するのかという実施計画。ところが今度の計画は新市として自ら考え、自ら作り出す計画。その意味では『自立』がキーワードになると思います。背景として、一定の一体感の醸成や約束事がほぼ実現してきた事を踏まえてになりますが、一方で財政措置が厳しくなる。合併算定替という普通交付税の優遇措置が減らされたり、合併特例債の償還が始まってくると丁度、平成33年の国体の頃がピークになると予想しています。そうすると、それに備えて、しっかりと財政的な力を蓄えなければならない。取り組むべき課題としては、自立する津市として、市民のため、地域活性化のために何をやるべきかを自ら見極めて離陸させる事でしょう。だからといって、初心は大切。合併して寂しくなったり、不便になったと言われないように地域の声に耳を傾けながら取り組んでいく丁寧さを忘れないようにしなければならない。
特に地域懇談会で地域の声を聞いているので、今後も続けることが絶対に必要と思います。
─少しずつ各地域の総合支所の権限を増やしたり、そういった部分での取り組みをされているのは感じています。
市長 その中でも子供たちに対する取り組みはこれからもしっかりとやっていくことが大切。私は合併後10年間の後半を市長としてしっかり携わり、合併前に決められた事の実現に向ってきましたが、自分が市長になってから、合併前に考えられていなかった事はなんだろうと考えてきました。
例えば、プレハブ校舎の解消。南が丘小学校で取り組み、西が丘小学校でも取り組んでいく。それからトイレの洋式化も31校でやりました。中学生までの医療費の無料化も実現、今年は中学校の教室にもエアコンが設置されます。これらは合併前までの約束ではなく、私になってからの施策で、子供達のための中心となる政策です。
そして、同じく大事なのは経済です。今年4月にビジネスサポートセンターを中勢北部サイエンスシティに設置します。企業の進出のサポートや、創業支援、企業誘致を一つの窓口でやるワンストップ制で運営していく。そこを拠点に津市は産業経済の発展をしていく。この辺りが具体的な課題になっていると思います。
─豊かな自然と文化・歴史に恵まれた津市は、大変素晴らしいところである一方、奥ゆかしい市民性もあって、その良さを外に伝えるのが苦手であるように思います。津市は、好調の東京日本橋の三重テラスでも毎月「つデイ」を開催してきましたが、反応はいかがですか。
市長 毎月1回金曜日に行っているつデイの手ごたえは感じています。その中で訴えたいのは、津市は「観光もできる」ということ。伊勢志摩サミットの影響で、サミット会場となった賢島や各国首脳が参拝した伊勢神宮を訪れたいという人が増えている。そのグループ内には2つの動きがあって、一つは観光で行こうという人。もう一つはアフターコンベンションで会議が終わってから足を伸ばそうという人です。津市にコンベンションをどんどん呼び込んで、その時に翌日は伊勢まで30分で行けるという事を訴えている。その際に津市では、短い時間を楽しんで頂く場所には事欠きません。津駅からほんの5分走れば海があって、山の方へ走れば美術館や博物館がある。10分走れば高田本山専修寺がある。大門の近くにお泊りなら津観音にも行って頂ける。
津市の方は冷静すぎるところがあって「伊勢や伊賀の忍者に比べると…」と気後れしてしまう。「美味しい物は」と聞かれた際には「鰻!」と胸を張って答える人が、観光となるとシュンとなる。市民の皆さんに伝えたいのは、そこまで遠慮することは無いし、堂々と津市の良いところをアピールして欲しいということ。それを気付かせるという意味でも、分かり易いのが名松線。話題性もあるけれど家城より先は乗ること自体が楽しい。そういう路線として復活するんだと考えていた。やはり、乗られた方もそうおっしゃっている。多分、被災する前はそういう事は全く言ってこなかったと思います。廃線で無くなるから乗りに来るんじゃなくて、復活したから乗りに来るという非常にポジティブな話で、そんな路線って他にはない。そういうところを発見して、津市は観光もOKという事にしていきたいと思います。
最近はSNSが普及していますが、フェイスブックなんかを見ていて、誇らしげに投稿されている内容を見た時に「津市の方がもっと凄いぞ」と思う事があるはずです。そういった感情をもっと表に出して頂ければ良いですね。
─今年10月に「サオリーナ」などで構成する津市産業スポーツセンターがオープンします。次第に施設が完成していく様子を見て、市民の関心も高まっていると思います。改めて、どのような施設になるのでしょうか。ランニングコストについても健全経営に向けた取り組みが重要です。その辺りはいかがでしょうか。
市長 サオリーナは国体の会場として、レベルの高い全国レベルの大会や、場合によっては世界的なスポーツ大会を展開できる場所として整備します。サブアリーナは市民利用を中心に、市民スポーツの様々な大会で使ってもらえる施設にします。まずキーワードは、「一流の施設」にしたいということです。利用料も東海地域の類似規模で近い規格を持った施設と競い合えるようにギリギリのところで設定をしました。するとサオリーナと一体となっているメッセウイング・みえの利用料が逆転現象で高いということになってしまいました。そこで3割くらい利用料を下げることになりました。十分競争できる利用料になっているので、後は指定管理者の努力。スポーツに長けた管理者なので、スポーツ関連のイベントや教室はしっかりとやってくれると思うが、更に努力してほしいなと思うのは、この施設をより沢山の人に使ってもらうという取り組み。素晴らしい施設を多くの方に使ってもらい、利用料を頂くためには、もっと周知の面でも頑張って頂かないと経営は健全にならないと思います。
そのことによって、とても賑わいのある場所になって凄く活用されます。市民の健康づくり、スポーツの振興に活用され、一流のものを見て感動できる場所になればと思います。市民の健康づくりという面では、外周を1・2㎞のジョギングコースにしますので是非ご利用ください。車を置いて、すぐに利用できるし、そのままジムも使えます。本当に幅広くスポーツのメッカになれば良いと思っています。
─一般の方にも普段から来て頂けたらということですね。
─発生が危惧されている南海トラフ大地震で、広い市域を持つ津市でも家屋の倒壊だけでなく、沿岸部の津波や山間部の土砂崩れなど、様々な被害に見舞われる可能性が高いです。市として今後どのような対策に取り組むのですか。
市長 「地域防災力」の強化が重要です。東日本大震災以降、形は随分整いました。地域防災計画を100カ所近く直したり、津波避難ビルの指定や、自主防災組織も立ち上がってきました。しかし、実際に災害が起こった時に機能するかが大事なポイントです。例えば、防災無線の戸別受信装置の配付も考えているが、とにかく配れば良いかというと決してそうじゃない。配っても使われないまま、ほこりがかぶっていては意味がない。どういうところに必要か、例えば、要介護の方が津波の報せを聞いて、誰が助けに行くのかといったところまで地域で見通しをつけないと、ただ機械だけ置いても仕方がないと思います。福祉避難所も指定したものの、どうやってそれを機能させるかが重要。避難所と言っても既に高齢者や障害を持つ人々が入所されているところです。そこに更に、支援が必要な方が入ってきた場合にどうするのか、また誰がそこまで連れてくるのかといった事を具体的に決めておかないと機能しません。地域防災力というのは形だけでなく、中身のこと。もちろん、形は大事で準備をしておく事は大事ですが、それをどうやって機能させるかという事です。危機管理部の職員には言い続けていますが、どんどん地域に入って、福祉避難所指定を受けている施設がある地域の防災訓練に参加をしてみるとか、そういう事をやれば市役所の姿が地域の中で見えてきます。そのために、市職員のユニフォームを整えました。市民から見れば、あそこに市役所の職員がいるのが分かるし、職員自身もあれを着ていると頑張らなきゃという気持ちがわ湧いてくる。よりしっかりと意識を持って職員が防災に当たっていく事が大切と思います。
─ありがとうございました。今後の更なるご活躍を期待しております。
2017年1月3日 AM 5:00
「一度はあきらめていた東京行き。先の大戦により南方で惨禍した父親をはじめ、英霊の御霊に哀悼の誠をささげたい」。
そんな相談を昨年秋、ある家族からいただいた。志を同じくする人達が全国から集うため、今回も参加の意欲があったが、歩行状況から新幹線を乗り継いで行くには危険。
ましてや女性の一人旅。本人も、あまりに勇気がいるため躊躇していたらしい。しかし言葉の端々からこの方の前向きな気持ちが、こちらにも伝わった。
外出は、高齢者や身体の不自由な方、介護を頑張っている家族、交通弱者にとってその時々の、外の景色や風、音、会話と味覚、どれも最高の生きがいになる。
私は、あらかじめ「顔の見える関係」を大切にしたいと思い、自宅に伺い現地での計画や、身体の状況などを詳しく聞いた。
課題のバリアフリーは、鉄道車輌や駅なども整備が進んではいるが、朝夕の雑踏を切り抜けて時間通りに到着するには、車椅子での移動が必要と判断した。
普段お客様自身は使用しないらしいが、長時間の移動には欠かせない。家族の応援もあり、話は前向きに進んだ。
県内の移動は当社の福祉タクシーで乗降ができるし、東京では日本福祉タクシー協会メンバーによって駅から集合地点までの送迎が可能。コラボレーションができるのは地方にいても最大の強み。
各所への連絡や手配も済み、出発当日はそれまでの雨も止んで絶好のお出かけ日和。早朝にもかかわらず準備を整え、今や遅しと迎えを待っておられた。緊張を和らげ、リラックスしていただくのも私の大切な役目。
名古屋駅の新幹線乗り継ぎは予想通り、ラッシュ時の人混みが激しく、車椅子の通行を容赦なく妨げた。 介助していても、危険を避けるのに大きな注意を要する。改札から駅員によるプラットホームへの誘導でようやく乗車。車椅子対応車輌は、近鉄同様、介助員の労力を減らし、何より車椅子本人も安全に乗車できる。
車内はレール音と車窓の景色が相乗効果を生み、話も弾んでホッと一息。戦没者の慰霊がこの日の最大の目的なので、食事やトイレ介助を行い、指定時間のある服薬を促して、余分な体力の消耗を防ぐ。
おしゃべりに花が咲き、ほどなくして着いた東京。会場には待ちに待った、志を同じくする人達が全国から集まっていた。
知った顔が目に入るや否や、「よく、ここまで来られたね」、「また会えるなんて、すごいね」。
目頭を熱くして互いの再会を喜び会い、華やかな会話が飛びかった。それまでの緊張が、一瞬にして解きほぐされていく。
当日のスケジュールを一つずつクリアできるのは、本人にとっても最良の幸せだ。靖国神社では、紅葉に染まった境内を散策し、昇殿も車椅子で参拝させていただいた。
夕方のライトアップは、より厳かな気分にさせる。追悼の感慨は深く、出席した人達と一緒に記念写真に納まるなど、ようやく目的を果たすことができた。
人と人、人と物を結びつける「おでかけ」は、本人にエネルギーを与えて目的の完遂に結びつけることができるのではないかと、これまでの経験から思う。
それに連動する福祉タクシーも、交通弱者の視点で、送迎以外に外出支援や院内の付き添いなどもする。
あるいは民間救急として看護師が同乗し、目的地へ搬送する。バリアフリーは障害を持つ人やお年寄り、交通弱者のみが特別に利用するものでなく、健常者も共に利用してこそ価値がある。
「こんどは、ゆっくり美味しいものを食べに行きたいね」。互いに思いをめぐらせて、帰宅したのは夜10時を過ぎていた。
ロングスケジュールだったが、お客様の「ありがとう」の一言が、何よりのお土産になった。
(日本福祉タクシー協会、
民間救急、はあと福祉タクシー代表)
2017年1月3日 AM 4:56
源泉かけ流しは良い温泉の代名詞と言われる。これは源泉とかけ流しの二つの要素を満たすということ。源泉は、温泉を汲み上げたそのままという意味。温泉は、25℃以上もしくは、規定の成分を一定量以上含んだ地下水であるから、それを汲み上げて流しっぱなしにしたのが、源泉かけ流しとなる。
こんなことをわざわざ調べてみたのは、湯の山温泉へ行こうと思ったから。アクアイグニスの片岡温泉が、目的の源泉かけ流し温泉だ。
以前の片岡温泉には何度も行ったことがあるが、新しくなってから、とにかく混み合っているという噂で、新築して何年にもなるのにずっと敬遠していた。
混んでいるお風呂ほど落ち着かないものはない。以前、ある日帰り温泉の洗い場で並んで順番待ちをした時には、さらし者にされたみたいで、とてもみじめな気持ちになった。裸で並ぶのはまっぴらごめんだ。
アクアイグニスは有名シェフの料理を食べられる複合リゾート施設である。ただの日帰り温泉ではなく若い人ばかりいそうで、その辺も気後れの理由だ。
温泉が一番混むのは土日の午後だろう。平日に早起きして、朝風呂を浴びに行こうか。みみっちいこと言わないで、この冬のイベントとしてお泊りすればよいけれど、何しろ近いところだから旅気分にはなれないかな。 (舞)
2017年1月3日 AM 4:55