梅見は春の大事なイベント。満開をまだかまだかと待ちかねて菅原天神に出かけた。ピンクの梅が咲き誇る鈴鹿の梅の名所だ。
少し冷たい風が吹いていたものの、春の陽射しは十分に強く、光の中にいるのが気持ち良い。梅の花の甘い香りが一面に漂っていた。アセビもサンシュユも咲いて、春だあと叫びたくなる。
駐車場に白いマイクロバスが停まっていて、周辺に車いすのお年寄りの姿が何人か見えた。施設の外出イベントらしい。お年寄りの表情は明るく、若い介護士さんがかがみこんで話しかける様子も見えた。
先日、古い友人たちと食事をした時に、親の介護の話になった。九十歳にもなると、家で生活することが難しくなって、施設にお願いする家庭がほとんど。親の年金や貯えで賄えればよいが、持ち出しになることもあると聞いて、みんなでため息をついた。
「私たちもしっかり貯金をしておかないといけないね」と、話は自分たちのことになった。私たちが施設に入るとき、いかほどの費用がかかるだろう。年金で足りない分をどうしよう。施設で何年を過ごすだろう。
梅の香りと明るい陽射し、若い人の温かいまなざし。こうして、若い介護士さんと一緒に梅見に来られるだろうか。過ぎゆく日々の速さを思うと、まだまだ先の話と片付けられない。 (舞)