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道路法や河川法等が適用されない里道や水路などの『法定外公共物』は津市内に6万件ほど存在している。それらは国から移譲された市有財産で市内の至る所にあるが、現状を市も把握しきれていないのが実情。それらの中には、地権者すら知らない状態で民有地に紛れ込んでいるものもあり、遺産相続などで発覚するケースもある。
「法定外公共物」は明治時代の地租改正に伴う官民有区分によって、地租を課さない国有地に分類された小規模の土地を指す。明治時代につくられた公図上で、赤い線で表現されたことから赤線・赤道などと呼ばれる里道と、同じく青い線で表現されていた青線・青道と呼ばれる水路などが大部分を占める。
その名の通り、道路や河川といった公共物と比べると、道路法や河川法などの法令の適用を一切受けないことが特徴。長年、国が所有してきたが、00年施行の地方分権一括法によって、用途が損なわれいないものを所在地の自治体に譲与した。津市では05年に国から譲与を受けている。
津市が譲与を受けたのは
全部で約6万300件だがそのほとんどが面積等の実情が不明。その理由としては、公図上で線としか表現されていないため、道幅などが全く分からない状態で、公図の書かれた時代とは周囲の状況は大きく異なるケースが多く確認が困難なことがあげられる。
実情が把握できていない以上、最も問題となるのは個人が法定外公共物を占有しているケース。後は遺産相続などで土地の登記をし直そうとした際、法定外公共物を取り込んでしまっていることに気付くケースもある。このような状況に対し、市として対処法は大きく3つある。一つ目は道や水路としての機能回復を要求すること。もう一つは法定外公共物の隣接地と同じ面積の土地を交換し、道や水路としての機能を確保するというやり方。そして、3つめが払い下げ。市が適正と判断した場合に限り、法定外公共物の用途を廃止し、普通財産として払い下げを行える。05年より現在まで、交換が約20件約810㎡、200件1万580㎡が払い下げられている。
ただ払い下げる場合でも前述の通り、法定外公共物は正確な面積が分からないので、道や水路としての機能を果たしていた頃を知る人の証言などを基に隣地の地権者全員と境界線立ち合いをした上で、面積を確定させていく作業が必要。これが確認作業が進まない最大の原因といえる。
この問題を解決するのに最も有効なのは地籍調査だが、津市の進捗率はわずか3%程で調査を終えるまでに一地域あたり約3年かかってしまう。しかし、調査を行った地域で民有地に法定外公共物が紛れ込んでいることも判明しており、効果はてき面といえる
元々、国が長年に渡って放置してきたツケが回ってきただけともいえるが、貴重な公共財産である以上、津市議会で市議から適正管理を求める声も上がっている。また、市民にとっても、知らず知らずの内に当事者となっている可能性がある身近な問題だけに、広く関心を持つことが重要といえるだろう。
2017年4月6日 AM 5:00