このゴールデンウィークにも多くの人が楽しむことが予想される「潮干狩り」。自然に触れ、海の恵みを存分に味わえる楽しいレジャーである一方、違反をすれば罰則まである様々なルールが設定されている。貝を砂ごと掘る漁具「じょれん」の使用によって海上保安庁に送致される人が今年も出ていることからも、潮干狩りに出かける前に一度ルールの再確認をする必要があるかもしれない。

 

 

潮干狩りを楽しむ人々が集まる御殿場海岸

潮干狩りを楽しむ人々が集まる御殿場海岸

津市の御殿場海岸や香良洲海岸、松阪市の松名瀬海岸などにはこの時期、潮干狩りを楽しむ人が訪れており、ゴールデンウィークにはピークとなることが予想される。まず、潮干狩りを行う上で大事なのは場所選びである。
海には、漁業者の生活を守るために共同漁業権が設定されている。潮干狩りの対象となっているアサリ・ハマグリ・バカガイなどの貝類も津市内や松阪市内の漁協では漁業権が設定されており、それを侵害すれば20万円以下の罰金が科せられる。松阪市沿岸では自然環境の変化や密猟でアサリの不漁が続いており、松阪漁協は松阪港周辺の川の河口付近に保護区を設置し、資源回復のために、より厳しい管理を行っている。
では、どこでやれば良いのかというと、まずは漁業権が設定されていない御殿場海岸などの場所。もしくは漁業権が設定されているが漁協との協議の上、観光目的で開放している香良洲海岸や松名瀬海岸といった場所。つまり、地元の自治体や観光協会が周知している場所ということとなる。
漁業権の侵害については親告罪であるため、それ以外の場所で地元の人が自家消費する分の貝をとるなど、多少のことは見逃しているケースも少なくないが、裏を返せば漁協側が訴えれば、罪に問われるリスクを秘めているといえる。前述の保護区では厳しい管理がされているため、それが顕著となる。人気の潮干狩りスポットを避けて、いわゆる〝穴場〟へ行って貝をとっていたら訴えられたというのでは目も当てられないはず。
場所選びの次に確認すべきことは、各都道府県の漁業調整規則に定められている禁止項目に抵触しないかということだ。三重県では棒の先端に網やカゴが付いていて、砂ごと貝をすくう漁具「じょれん」の使用を大きさに関係なく一切禁止している。網のついた熊手も同様の扱いを受けるので要注意。また、貝の体長制限もあり、ハマグリ3㎝以下、アサリ2㎝以下の個体をとってはならない。違反した場合は、前者は科料に処せられ、後者が6カ月以下の懲役または10万円以下の罰金という罰則がある。
これらの情報は三重県でもホームページ・ラジオ・データ放送などで呼びかけ注意喚起を行っているが、違反者が後を絶たない。三重県と愛知県を管轄する海上保安庁第四管区海上保安部によると、昨年に送致した漁業関係法令違反が133件あり、うち64件が三重県内で発生。両県で、じょれんが使用禁止であるということが広まってきたのもあり、減少傾向にあるものの、今年に入ってからも津市など三重県内の海岸でじょれんを使用し、送致された人がいるのも事実だ。
今まで紹介した漁業調整規則は三重県のもので漁業権に対する対応は都道府県や管轄する漁協によって異なるため、ゴールデンウィークに他県へ遠出をして潮干狩りをする場合は念のために、その違いを確認をしておいた方が良いだろう。
ここでまとめた違反行為はれっきとした海上犯罪で取締の対象となる以上、知らなかったでは済まされない。もし、送致されれば、家族で過ごす楽しいゴールデンウィークの思い出が台無しになってしまう。もう一度、ルールをしっかりと確認してから、潮干狩りを楽しむべきだろう。