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津市出身の太田美穂さん(20)はこの春に三重県初のガールズケイリン(女子競輪)の選手となり、今は7月に予定されているデビュー戦に向け、ホームバンクの松阪競輪場でトレーニングを重ねる日々を送っている。華やかな勝負の世界に身を投じた太田さんは全国の選手たちとしのぎを削ることになるが、これから県内で同じ道をめざす未来の後輩たちの憧れの存在となれるよう、今後の活躍が期待されている。
戦後よりしばらく開催されていた女子競輪は、長らく途絶えていたが、2012年よりガールズケーリンとして正式に復活。男子競輪とは一線を画する独自のルールと、女性選手たちが織りなす華やかなドラマが人気を博している。
太田さんは、父・安治さんが監督を務めていた小学生の陸上チーム「一志Beast」での活躍を皮切りに、小中高と陸上競技に打ち込んできた。転機が訪れたのは高校卒業を間近に控えた頃。大学進学が決まっていたものの、陸上競技を続けることに迷いが生じていたところに、いきつけの整体院で「ガールズケイリンをやってみないか」と勧められた。早速、松阪競輪場でガールズケイリンのレースを観戦し、その世界観に魅了され、すぐに選手を目指すことを決意した。その後、土日や夏休みには自転車漬けの日々を送った。
太田さんの師匠は、松阪競輪場をホームバンクとするS級最高齢優勝記録を持つ萩原操選手(54)。萩原選手門下の男性選手に交じっての練習で、男子と女子のスピードの差に、時には心が折れそうになりながらも、精神的にも肉体的にも鍛錬を重ねた。
そして昨年、太田さんは日本競輪学校=静岡県伊豆市=に入学し、約10カ月間の厳しい生活を終え、この3月に卒業。日本競輪選手協会の三重支部にも所属し、晴れて三重県初のガールズケイリン選手として第一歩を踏み出した。
学校に入るまでは、男性と練習をする中で悔しい思いもしてきたが、同じ女性と走った時に自分の実力が改めて認識でき、自信にも繋がった。そして、同期のライバルたちの存在は、更に競技に打ち込む原動力にもなっている。
「自分の力で勝つことやコツコツ努力を重ねて結果に繋がることも嬉しい。競技としては、様々な駆け引きがあるのも魅力」と笑顔で語る太田さんは現在、7月に予定されているデビュー戦に向けて、松阪競輪場で萩原選手らの指導を受けながら力を蓄えている。
太田さんが萩原選手たちの温かい指導を受けながらガールズケイリン選手へと成長していく姿は、ユーチューブでも動画として配信されており、「ミポリン」の愛称で親しまれている。動画を見た人たちから温かい言葉をかけられることも多く、「地元の松阪競輪場のバンクで走りたいという気持ちが強い」と師匠である萩原選手や、応援してくれる人たちへの感謝を込めながら語る。
三重県初のガールズケーリン選手としてプレッシャーを感じることもあるが、全国のライバルたちとの戦いを夢見て今日も練習を積む太田さん。同じ女性選手が身近にいない先駆者ならではの苦労も少なくないが選手としての飛躍と共に、同じ道を目指そうとする〝未来の後輩〟の目標にもなれるよう今後の活躍が期待されている。
2017年5月11日 AM 5:00