後継者不足や耕作放棄地などの問題を抱える農業と、就労の場が限られ、低賃金にも悩む障害者福祉の連携をめざす『農福連携』の実現に向けて様々な事業に取り組む「三重県障がい者就農促進協議会」が1日、三重県総合文化センターで総会を行った。農福を繋ぐ農業ジョブトレーナーの育成や就農研修生の募集などの事業に取り組んでいくほか、全国の成功事例の報告を受けながら、更なる普及に向けて士気を高めた。

 

会場の様子

会場の様子

平成27年10月に設立した同協議会が進める農福連携とは、農業が抱える高齢化や担い手不足による衰退とそれに伴う耕作放棄地の増加と、障害福祉における従来型の授産作業では、障害者が自立できるような収入は得られにくく、地域社会との交流も限られているという構造的な問題を解決する方法の一つとして注目されている。農業サイドにとっては、労働力の確保による新たな担い手の誕生と耕作放棄地の解消、それに付随する農業規模の拡大や増収への期待が、福祉サイドでは工賃アップや農家や地域との交流の中で社会性の向上などが期待される。
ただし、農業サイドは障害者に対する接し方が分からなかったり、農作業ができるのかといった根本的な不安を抱えていることが多く、逆に福祉サイドも農業の経験がなかったり、指導者が不在で農地を借りる方法が分からないといった不安を抱えている。そこで同協議会は、農業経営者に対し、就労希望する障害者の特性や本人の適正に配慮した就労時間や職務内容などを助言・指導を行う農業ジョブトレーナーを派遣したり、農業ジョブトレーナー育成講座の実施や就農研修生を募集するなど、橋渡し的な役割を果たしている。
1日に三重県総合文化センターであった2017年度総会では、昨年度の事業と今年度の事業報告があった後、滋賀県草津市で農福連携を実践しているNPO法人「HUB’s」代表の林正剛さんが特別講演した。 林さんは農福連携の課題として、都市部では農地が狭く、収益を上げにくい農業に親しむ機会が少ないことを、一方の中山間地域では農地はあるものの、農地の貸借に消極的だったり、障害者への理解不足となどを指摘。自身の団体で取り組む獣害に強いこんにゃく芋の栽培を通じた中山間地域の活性化だけでなく、農家へ障害者の作業員を派遣する共同受注農作業システムや、工賃アップを目的に取り組んできたパンや菓子製造などで培われた障害者施設の技術を生かした小ロットからできる農産物の六次産業化など先進例を紹介。農福連携で、農業と福祉の両方に利点があり、社会問題解決にも繋げられる可能性を改めて示した。
総会後、同協議会の中野和代代表理事は「農福連携によって障害者が働くきっかけになれば良い」と期待を込めた。
同協議会では農福連携関係者だけでなく、農福連携に興味のある人が参加できる初級農業ジョブトレーナー養成講座や、雇用型就農体験研修も開く予定。
問い合わせは同協議会☎津253・4187。その他、農福連携への問い合わせは県農林水産部担い手支援☎津224・2354。