(前号からの続き)
私もまた、「黄金の脚・スーパーマン」と呼ばれ、中学の陸上部、野球部他から誘いが来ましたが、入学式初日、上級生の番長から「お前が奥山か?」と言われ、一触即発の暗雲が立ち込めた、手荒い歓迎から始まり、後に陸上部で主将も務めるものの、走りに迷い、進化を求めようとして指導者もなく、自ら型無し、台無しにしてしまい、後にスクワットも県記録保持者となる高いポテンシャルを生かせず、小学生時代のように疾風のごとく走れなくなり、4年間で陸上から消えることになるのです。
4スタンス理論のように人には生まれながらの特性があり、当時のヒーローだったボブ・へイズ選手のように荒削りでも自然のままで良かったと引退後悟ることになりました。
当時の私は朝原選手や山県選手のお手本のような肘を閉めたパラレルフォームで指先で走っても体の動きを制限されてしまい、ただのブレーキでしかありませんでした。
あの頃の喜びも悲しみも、重ねた多くの失敗も私の心の原点であり、後に何百人ものチャンピオン達を育てることになる指導の宝物でもあります。
人は苦しみも悲しみも重ねた失敗も、いつかきっと力になります。私が50年も現役でいられるのは、体力が衰えても、内なる力であるフィールの人一倍の強さです。
失敗は恥ではありません。恥は、もう二度と立ち上がる気力すら失くすことです。100回叩かれても101回目に立ち上げれば良いのです。
諦めずに自分を信じ、真摯に努力し続ければ、きっと明日は新しい風が吹いて来るのです。明日は味方です。皆さんもほんの少し明日が変わればいいですね。
余談ですが、現在の私は、仕事とトレーニングを終えると、父が死去した日から認知症を発症した90才になる要介護の母の入浴と真夜中のスクワット他の軽運動、洗濯等の生活が5年間続いています。
寝たきりの全介助から5回以上復活させています。お互い独りだけ遺しては行けない思いからでしょうか、箸も持てない母が復活して来る様は親子でよく似ています。私も介護で麻痺した足のリハビリと気分転換のために始めたボウリングで、今月200ポイントアップを果たしました。
昔ある人に、10年先どこにいても、あなたらしく輝いて頑張っていてほしいと言われたことがあります。
今は遠くから幸せを祈り同じ星を見つめるしかなくても、50年も走り続ける理由の一つであり大きな力です。
人は心で生きています。〝満天の星の一つと燃え尽きるまで〟、若い人達にはまだ負けず頑張れるのも心の痛みを多く経験して来たからでしょうか。
ジムで指導して35年過ぎましたが、体力、筋力より大きなパワーは誰しも心の内にあります。
皆さんも明日を信じ頑張って下さい。良い明日を。       (終)