2017年8月

4月に総務省より自治体間での返礼品合戦を是正する通知がなされ、ブームの過熱が一段落している「ふるさと納税制度」。津市では昨年度、返礼品の充実を図り、市外の寄附を増やしたが、それでも実質約1300万円の赤字となっているため、今月1日より返礼品の品目を更に増やし、更なる寄附の増加をめざす。一方、制度を利用する市民も本来の趣旨を再認識する節目にきているのかもしれない。

 

「ふるさと納税制度」は控除額の引き上げや、サラリーマンの確定申告が不要となる「ワンストップ特例制度」が採用され、利用し易くなったことに加え、各自治体が豪華な返礼品を競い合うように用意したことで、利用者が急増。昨年中の税金控除の適用状況が反映する平成29年度のふるさと納税に係わる控除額は約1767億円(対前年度比約1・8倍)で、適用者は約225万人(同約1・7倍)となっている。
本来、ふるさと納税制度の返礼品は利用者の実質負担となる2000円を穴埋めするものだったが、地元特産品のアピールに留まらない豪華な返礼品で多額の寄附を集める自治体が出ており、総務省は自治体を応援する制度の趣旨に反するとして、今年4月、全国の自治体に対し、返礼割合を寄附額の3分の1以内に抑えること、金券や家電製品などの送付自粛、自治体内の在住者への返礼品の自粛などを求める通知を行っている。
その結果、過度な返礼品合戦にブレーキがかかると共に、制度の利用者が減っており、一部では〝バブル崩壊〟ともささやかれている。
津市はというと、ふるさと納税制の「津かがやき寄附」の使途項目に、市民からの要望を受け、「津城跡の整備」を加え、そこに集まった寄附を全額基金として積み立て、現在2000万円以上を保管するなど、集めた寄附をどう使うかという制度本来の趣旨に主眼を置いた運用を続けてきた。
その一方で、なんの手も打たなければ、市民が制度を利用することによる市税の流出は続くため、対抗手段として市外から寄附を募る必要がある。そこで市外在住者が3万円以上の寄附を行った場合の返礼品に、全国的にも知名度の高い精肉店・朝日屋=津市北丸之内=のすき焼き用特選松阪肉1㎏を用意したところ、寄附件数が増加。平成27年度の314件659万7000円に対し、583件1733万3000円で、寄附件数の内訳も市内133件、市外450件と市外からの寄附を大幅に増やすことに成功している。
しかし、津市内で昨年中にふるさと納税による市税の控除によって約1億2500万円が流出している。その内、約75%が地方交付税で補填され、ふるさと納税で集めた寄附額で補ってもなお、実質約1300万円の赤字が発生しているのが実情だ。
そこで、津市は今月1日より、津市の特産品や津市内の事業所が製造・取扱いをしている商品計21品目を返礼品に追加し市外から新たな寄附を募っている。従来の返礼品も総務省の通知に抵触する三重テラスの商品引換券2000円分や市内在住者への返礼品の取りやめを行った。また、市議会などからも移住促進やシティプロモーションにも繋がる体験型の返礼品を新設すべきという声も上がっているが、民間の宿泊施設などを活用すると、宿泊券に該当するものを発行する必要があるため、総務省から通知で避けるよう求められている品目「金銭類似性の高い物」に抵触する可能性が高く調整が難しいという。
国は一度ブレーキをかけたものの、制度利用の急激な落ち込みに対する反響も大きく、今後もどのような形で存続していくのかは未知数。そうである以上、寄附を増やすための取り組みは不可欠だ。
人口の少ない地方の自治体でも努力次第で、財源を増やしながら、地元の特産品のPRや地域振興などに繋げられる制度のメリットは大きいが、その部分だけがクローズアップされ、本来の趣旨を見失うのは本末転倒。過度な自治体間競争を防ぐ意味では今回の通知は、妥当といえる。
ブームの過熱が一段落した今だからこそ、返礼品の内容だけではなく、どのように寄附を、まちづくりへと生かしていくのかという制度の原点を大切にする姿勢に立ち返るべき時がきているのかもしれない。

昨年の第1回コンペの様子

昨年の第1回コンペの様子

津城復元の会は昨年に引き続き、年1回の復元資金造成のチャリティーゴルフコンペを10月24日(火)津市一志町の伊勢中川カントリークラブで開く(大会委員長=原田日出夫さん)。
競技方法は▼18ホールズ・ストロークプレー・6インチプレース可▼ダブルペリア方式(ダブルパーカット・ハンディ上限40)▼使用ティ=男子白マーク、女子赤マーク。男子70歳以上はゴールドマーク、男子同75歳以上および女子60歳以上はピンクマーク▼ニアピン=アウトコース4番・7番、インコース11番・14番▼競技規則はJGA規則およびゴルフ場ローカルルールを適用。
プレー料金は1万2千円(チャリティー・1Rセルフプレー・昼食・パーティ参加費・利用税・ゴルフ振興基金・消費税こみ)、事前払い・当日払いどちらでも可。パーティーはドリンク付きだが、アルコール類はなし。
参加は4人1グループ、または個人(主催者でグループ編成)。代表者および同伴者全員の住所・氏名・性別・年齢(順位確定・表彰に必要)・電話番号・希望スタート時間があればそれも(8時開始、7分毎にスタート)記入して、事務局小菅へ(FAX059・273・5058)。締切は9月30日。定員は25組100名。問い合わせ小菅携帯090・8869・7528。
復元資金となる「ふるさと津かがやき寄附」の『津城跡の整備』への浄財は、7月末現在で延べ1万2946人から2086万3776円が寄せられている。

でんきの科学館で楽しく実験!

でんきの科学館で楽しく実験!

10日、本紙恒例の「夏休み親子見学会」で、親子32名がバスの旅を楽しんだ。
生活に欠かせない電気がどのように作られているかを、実際に発電施設を見て、学んでもらおうと、中部電力三重支店の協力を得て毎年企画しているもの。今回も昨年と
同様、名古屋市にある「でんきの科学館」と、三重郡川越町にある「川越火力発電所」や隣接する「川越電力館テラ46」を見学した。
津市を出発した一行は関ICから東名阪自動車道に入り、でんきの科学館に到着。
同館では、まずリニューアルされたばかりのオームシアターで参加者全員が大画面を使ったゲームに参加。その後、サイエンスラボで電磁石の仕組みを実際に実験をしながら勉強したり、様々な展示を通じて火力・水力・原子力の発電法や送電の仕組みなどを楽しく学んだ。

川越火力発電所のタービンを間近に見学

川越火力発電所のタービンを間近に見学

同館の次は、バスで川越火力発電所へ。同発電所は日本のみならず、世界でも指折りの規模を誇る大規模火力発電所。1号機から4号機を合わせた総出力は480万2千kw。参加者たちは、まず発電所に隣接する川越電力館テラ46を見学。地球と人類の共生をテーマにした展示を楽しみながら、エネルギーと環境との関わりも考えた。
その後、構内へ移動し発電所の施設見学。発電の燃料となるLNG(液化天然ガス)がカタールなどの外国からタンカーで運ばれてきて発電所内のタンクへと貯蔵されるまでの説明を受けながら実際の施設を見た後、燃料を燃やした蒸気で発電を行うタービンを間近で見学。参加者は、その熱に驚いていた。また、365日24時間体制で運転を続けている発電所の心臓部である中央制御室を見ながら、電力の安定供給は多くの人々の努力の上に成り立っていることを改めて目の当たりにしていた。
帰路についた一行は、御在所サービスエリアでしっかりお土産も購入。何気なく使っている電気がどのようにつくられているのかを学びながら親子の絆を深めた一日となった。

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