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『観光立国』を目指す日本政府は、5月に策定された『観光ビジョン実現プログラム2017』に、高次元で観光施策を実行するために必要な財源の確保策を求めている。
この事を踏まえた観光庁では『出国税』を検討している。徴収した税金は、海外での地方観光プロモーションや出入国管理システムの高度化などに充てる計画だ。
徴収対象にはインバウンドだけでなく、日本人も含めるべきか否か、また、具体的な徴収方法などについても検討している。観光庁では海外事例なども参考に、18年度税制改正要望などを通じて実現を目指す方針だ。
課題は、航空機を利用する場合は航空券に上乗せして徴収できるが、船舶は航空機とシステムが異なるため上乗せできない事である。
また、日本人から徴収する場合、メリットを感じにくく反発を招く恐れもあり、外国人にとっても訪日の割高感が増す可能性がある。8月9日の中国人民日報では、インバウンドから保安サービス料を含む空港使用料を一人あたり2610円徴収している空港や旅行会社が反対するだろうと述べ、中国人観光客の不満を呼び起こす可能性があるとしている。免税土産で最も恩恵を受けた国が厚かましい限りである。
海外では欧州主要国が航空旅客税を徴収しているほか、韓国も空港、港湾を問わず出国時に納付金という事実上の税金を徴収している。
米国もビザ免除対象国の国民から電子渡航認証システムESTAで14ドル(約1540円)を徴収し、観光促進の財源に充てているのだ。
もちろん徴収対象は、日本人アウトバウンドにも適用すべきである。海外旅行による過度の日本円流出を抑制する点や、邦人富裕層のディスカバージャパンの為にである。
以下は財務省の国際収支統計から抜粋した、暦歴における日本の旅行収支の『受取』と『支払』である。
受取がインバウンド、支払がアウトバウンドで単位は億円、2016年は暫定値だ。収支尻は四捨五入の為に合わない場合もあるが、インバウンドとアウトバウンドの逆転が、2015年から始まった事がよく分かる。 それ以前は、実に44年もの長きに渡って万年赤字だった。
ざっと試算してみよう。たとえば原発爆発事故があった2011年の翌年2012年だ。
この年は当時の政権の政策によって史上最大の1849万657人のアウトバウンドとなったが(おかげでJALは再上場を果たしたものの、国内の観光地では1452件もの旅館が廃業したが)、それでは、もし仮に出国税を一人あたり1000円で見積もった場合、それは184億9065万7000円にもなる。
ところが、インバウンドだけとなると、この年は835万8105人しか来なかったので、僅か83億5810万と5000円にしかならないのである。
(O・H・M・S・S「大宇陀・東紀州・松阪圏サイトシーイング・サポート」代表)
2017年9月7日 AM 4:55
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