本棚の整理をしていたら、徒然草の解説本が出てきた。子どもが高校生の頃に使った参考書だと思う。
パラパラとめくって楽しくなった。すらすら読めるから。もちろん日本語だから読めて当たり前だけれども、古文を勉強した頃からもう何十年も経っている。何もかも忘れていると思っていたのに、「あはれ」「すさまじき」「をかし」といった古語の意味を覚えていた。脳はこれらの記憶をどこかに収納していたらしい。
それに、文中に分からない単語があっても文の意味は不思議と分かる。人が古くなると、自然と古文が読めるようになるものだろうか。
読んだ覚えのある文もある。「おぼしき事言わぬは腹ふくるるわざなれば」とあり、「もの言わぬは腹ふくるるわざ」は徒然草出典だったと思い出す。
「善き友、三つあり。一つには物くるる友。二つには医師。三つには知恵ある友」高校生の時には、これはあまりにもひどい言い草だろうと思った。でも、この年になると現実的な考え方だと素直に認められる。
他の段も読んでいくと、うなずけることばかり。現代に通じる真理の数々。七百年も前の人が考えたことが、今の私にはすんなりと同意できる。徒然草は年を重ねてから読むべきだ。
さて、今から七百年後の人にも、同じように肯定されるだろうか。
(舞)