「まめっこ」が行った草ひきに参加したメンバーと学生ら

「まめっこ」が行った草ひきに参加したメンバーと学生ら

津市白山町上ノ村で、住民をはじめ、他地域の人・学生・企業が参加している「上ノ村環境保全プロジェクト~『人』と『農』を核に村をデザイン~」=大倉信幸代表=が、「平成29年度農林水産祭 豊かなむらづくり部門」で農林水産大臣賞を受賞した。来月、名古屋で表彰式が行われる。
上ノ村地区は人口280人、世帯数78戸、農地面積41㏊(田んぼ39㏊)の小さな集落。農業は稲作中心で、農家は53戸、ほとんどが兼業農家。
同地区ではかつて高齢化や獣害の影響で農業離れが進み、遊休農地の増加が課題となっていた。
このような中、自治会の有志が「地域を何とかしたい」と、平成17年に地域の盆踊りを40年ぶりに復活させた。これを機に住民が集落の将来像を話し合うようになり、同21年、地域づくりを目指す同プロジェクト(通称=KKP)が発足。
以来、多分野の事業、例えば獣害対策や、三重大生との交流、料理の得意な女性による「村のレストラン」、食や農に関心のある母親達のグループ「まめっこ」による休耕田での大豆の栽培に取り組んできた。
KKPの特徴は「主体が多い地域は楽しい」という思いで、事業ごとにチームを組織していること。また住民の主体的な参加を促すため、取り組み方針を決定する際は、丁寧な合意形成を行う。更に女性が動くことで地域が活性化すると考えて初代会長に女性を迎え、普段地域の活動に参加していなかった女性の意見を聞き取り反映した。
そして今回、受賞で得られたのは名誉だけではない。今年6月に行われた同部門のプレゼンで、
住民達が審査員に、取り組みにかける思いを話した。このとき住民が互いの思いを認識したことで、皆で村を盛り上げていこうという雰囲気が一層高まり、活動への積極性が増したという。
KKP書記の木村和正さん(63)は「地域づくりは、どういう方向性で行くかを決め、目標に向かって『もがく』ことがやはり大事。一歩踏み出したら景色が変わります。上ノ村では経済性だけが全てじゃないと考え、ビジネスで村を盛り上げるのではなく、『どこの地域でも、誰でもできる村おこし』に取り組んできました。地域が存続するには行政のインフラ整備の対象であり続けることが必要ですが、上ノ村だけが活性化しても対象となるには面積が狭いので、この手法を白山町全体に広めて町全体を盛り上げたい」と話した。