津市の友好都市である北海道上富良野町で15日に行われた「かみふらの収穫祭」に『高野尾花街道 朝津味』=津市高野尾町=の職員や農業塾塾生や津市豊が丘住民らによる訪問団が産業交流を目的に参加。それに先立ち13日には、同町の向山富夫町長を表敬訪問した。訪問団の様子を2週にわたり報道する。(本紙報道部長・麻生純矢)

訪問団団長の生川さん(左)より枝付きの柿を贈られ、笑顔の向山町長(中央)と服部教育長

訪問団団長の生川さん(左)より枝付きの柿を贈られ、笑顔の向山町長(中央)と服部教育長

向山町長(前列中央)らと記念撮影をする訪問団

向山町長(前列中央)らと記念撮影をする訪問団

上富良野町は北海道のちょうど中心部に位置する人口約1万1000人の町。明治30年に入植した津市納所出身の田中常次郎ら三重県出身者が富良野原野を切り拓き、町の礎を築いた。しかし、大正15年の十勝岳噴火による火山泥流に飲み込まれ、144名もの死者を出し壊滅。北海道開拓庁も復興を諦めたほどだったが、津市一身田出身で村長だった吉田貞次郎が不退転の決意で、町を蘇らせた。その縁から平成9年に友好都市提携を締結し、今年で20周年を迎えた。津市や三重県内の市町出身の先祖を持つ町民も多く、〝故郷〝に対する想いは今も強い。
今回の訪問団は、友好都市提携20周年に加え、朝津味の運営会社「フューチャー・ファーム・コミュニティ三重」が「㈲かみふらのフラワーランド」と相互の地域産業発展をめざす「文化、産業交流協定」を結んで1周年の節目を迎え、同町とのより深い交流を目的に収穫祭に参加した。
県下最大級の農産物直売所を備える朝津味が、新たな特産品化をめざしているサトイモや、三重県でとれるミカンなどの果物は北海道の気候条件では栽培が難しいために需要が見込める。収穫祭でそれを販売することは販路拡大の試金石ともいえる。加えて、同町の特産品であるメロンやじゃがいもなどの農産物は津市でも需要があり、その生産状況や市場を調査し、年間を通じた相互の農産物流通の活性化による産業交流をめざす。
訪問団は、朝津味の職員と農業塾塾生、豊が丘の住民らを加えた総勢15名で構成。団長は津市自治会連合会会長で40年以上も同町と草の根交流を続けている生川介彦さん=津市豊が丘=。生川さんは人脈を活用し、販路開拓にも協力した。
13日、旭川空港に到着した訪問団は上富良野町の職員らに出迎えられ、その足で向山富夫町長を表敬訪問。向山町長は「今年で上富良野町が生まれて120年になる。明治30年に津市や三重県の方々が足を踏み入れてくれなかったら今日の町が無かったといっても過言ではない。皆さんの収穫祭への参加は嬉しい限り」と一行を歓迎。
生川さんは、20周年を迎え、相互交流が活発化していることに触れ「上富良野の皆さんの熱い思いをやっと津市が受け止めるようになった。上富良野と津市の縁が長く続いていくように私たちも頑張るので、受け止めてほしい」と語った。
その後、生川さんは鑑賞用のみかんの木や、津市産の海産物などを贈った。特に枝付きのみかんや柿は同町で珍しいこともあり喜ばれ、農産物の流通促進への可能性を感じさせる一幕もあった

(次週へ続く)