2017年10月

アサギマダラという蝶がいる。名前の通り、羽の浅葱色(薄青色)が印象的な大型の蝶だ。美杉で見ることができると数年前に知ったのだが、今年初めて見に行くことができた。
アサギマダラはフジバカマなどキク科の花の蜜を好む。美杉町太郎生の人たちが世話をするフジバカマ畑で花が咲くと、アサギマダラがやってくるのだ。
晴天のその日、畑のフジバカマは一面に薄ピンクの花を咲かせていた。畑の中の散策路を行くと桜餅のような香りがした。アサギマダラは花の上を優雅に舞い、花に降りて蜜を吸った。
この蝶は渡りをすることが知られており、各地でマーキング活動が行われている。捕獲した蝶の羽に印をつけて放し、その蝶を発見した地点を記録する。その活動の結果、北海道から山口まで、福島から沖縄までなど、千キロメートルを軽く超えて移動していることが判明した。なんと台湾まで飛んだ蝶もいるそうだ。華奢な羽でどのように海を渡るのだろう。
蝶の成虫である期間は四五ヶ月。フジバカマ畑に滞在する日もあるだろうし、一日一キロメートルも移動する計算になる。海を渡る先の島の位置を知っていることも不思議。小さな体で途方もない冒険をしている。
太郎生のフジバカマは今月末ぐらいまで咲くらしい。冒険の旅の途中の蝶を見てやってほしい。    (舞)

郵便局時代の趣きが残っている、「cafè古ポス」の外観

郵便局時代の趣きが残っている、「cafè古ポス」の外観

インテリアもおしゃれな店内

インテリアもおしゃれな店内

津市一志町波瀬の新道沿いに今月11日、昭和6年~46年まで「一志波瀬郵便局」として使われ、当時の趣きが残る建物を活かした「cafè古ポス」=店主・藤岡信貴さん(39)=が開店した。
藤岡さんは、同町で両親と建設業を経営している。また母方の曽祖父・祖父は代々、同局の局長を務め、それぞれの妻も局員として働いていた。
同カフェの店舗は、昭和6年に同局が波瀬の旧道沿いから移転する際、新局舎として建設されたもの。同46年に同局がすぐ近くに再移転し、

店主の藤岡信貴さん

店主の藤岡信貴さん

その後、この建物は祖父母が使っていたが2人は数年程前に亡くなった。
そして今春、同建物の修復工事中、地元住民から「人が集まれる場にしてほしい」と言われたのを機に、カフェを開店。
メニューには和菓子店「松生堂」など地元の店の協力を得た。また藤岡さんはクリームソーダなど懐かしい雰囲気のメニューも用意し、趣味で集めた昭和の玩具を展示、更に昭和の歌を流すことで当時のような雰囲気を演出。「皆さんに気軽に来てもらえる店にしたいです」と話している。
波瀬は人口減少などの影響で飲食店が少ないこともあり、同店は住民に早くも好評だ。また藤岡さんの母・のり子さんにとって店舗は、文化財であると共に、両親の元職場であり当時の思い出がある大切な場所。のり子さんはそこがカフェとして賑わう様子を見て「嬉しい」と感激していた。
営業時間は10時~16時(今後延長する可能性あり)。日・月曜定休。

講演する落合館長

講演する落合館長

中日書道会中南勢支部が1日、アスト4階で支部集会と講演会を開いた。
講演会での講師は、春日井道風記念館の落合哲館長。愛知県春日井市出身の平安時代中期の貴族・能書家である「小野道風」について解説した。
道風は、それまでの中国的な書風から脱皮して和様書道の基礎を築いた人物と評され、後に、藤原佐理と藤原行成と合わせて「三跡」と称される。その書跡は野跡と呼ばれる。
その書風は豊麗で温和荘重、筆力が漲り悠揚としていることが特徴。
落合館長は、現在残っている様々な文献を元に分析。道風は中務省に属する少内記という役職にあり、宮中で用いる屏風に文字を書いたり、公文書の清書をしたりするのがその職務であったことや、能書としての道風の名声は生存当時から高く、当時の宮廷や貴族の間では「王羲之の再生」ともてはやされたこと。『源氏物語』では、道風の書を評して「今風で美しく目にまばゆく見える」と言っていることなどを紹介。最後に、「道風は当時の先進国であった中国文化を取り入れ、日本風の文化にアレンジし、国風文化として確立させた」と締めた。

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