落書き帳などというものを書いているので、私は物見高い人となってしまった。どこかに話のタネが落ちていないだろうか。きょうも行き会った人たちをそれとなく観察していた。
すると、「女の私の出る幕じゃない」という声が聞こえてきた。私はすかさず聞き耳を立てたが、その先は聞こえない。七十代ぐらいの女性の二人連れはいったい何の話をしていたのだろう。
私の辞書に、「女の私の出る幕じゃない」という言葉はない。「女だてらに」「身の程も知らず」いつの間にかしゃしゃり出てしまう私である。
私に限らず、たいていの女性は、「女の私の出る幕じゃない」とは言わないだろう。女性たちは、男女平等、機会均等と教えられて育ってきた。
確かにそれは社会の建前で、男女平等、機会均等ではない場面にも再々出くわした。でも、正面から「女はダメだ」と言われたことはなかった。若い人なら、なおさらそうだろう。
もしかしたら、「女の私の出る幕じゃない」発言には、別の狙いがあったかもしれない。たとえば、卑下して見せて相手を安心させるとか、至らないと非難されないように予防線を張るとか。人間関係を円滑にするために、そういったテクニックを使う場合がないこともない。
彼女たちはいったい何の話をしていたのだろう。とても気になる。
(舞)