關敬介さん

關敬介さん

關さんの蒔絵作品

關さんの蒔絵作品

津市久居相川町の「關佛壇製作所」の蒔絵師・關敬介さん(39)は、伝統の技の魅力を新たな形で発信している。
蒔絵とは、漆で絵や文様などを描き、それが乾く前に金、銀、錫、色粉などを定着させる技法。日本の漆工芸の代表格。
關さんは小さい頃より絵を描くことが好きで、家業で仏壇の製造販売をしていたため、蒔絵は非常に身近な存在だった。高校卒業後に京都伝統工芸専門学校(現京都伝統工芸大学校)に入学。2年間、知識や技術を学んだ後、当時学校で講師をしていた師匠に弟子入りし、9年ほど京都で自身の技を磨いた。その後、実家に戻り仏壇の製造に携わってきた。
仏壇の蒔絵の図柄は花鳥や親鸞聖人の説話の一場面などを描いたものが中心。その他、仏壇店によるオリジナルの図柄もある。關さんも身に着けた技術をふるい蒔絵を描いてきたが、近年では仏壇の需要が低下。危機感を感じる中、どのようにすれば伝統の技を多くの人々に伝えられるかを模索するようになった。
その結果、思いついたのが仏壇以外のものに蒔絵を描くこと。お客さんに頼まれた茶道具の棗から、スマートフォンのケースやアクセサリ、仏具の鈴、万年筆など身近なものに描くだけでなく、伝統的な図柄の色味を鮮やかなものに変えたり、可愛いキャラクターなどを描いた作品を写真投稿サイトのインスタグラムにアップしたところ大きな反響があり、全国どころか海外からも注文の依頼があった。シリコン以外大抵の素材に描け、依頼者の希望に沿ったオリジナルの図柄もオーダーを受け付けている。
また、写真しか残っていない蒔絵の復元も行い、顧客から喜ばれたこともある。そのほか、伝統の技の魅力を伝えるために、大人から子供まで楽しめる蒔絵のワークショップも好評を得ている。
關さんは「手仕事の素晴らしさを伝えていきたい」と笑顔。今後はアクセサリなど様々なジャンルに応用しながら、蒔絵をより身近に感じられる作品作りに取り組んでいく。
問い合わせは☎059・255・2666へ。