蒸気機関車の運行がニュースになっていた。もくもくと煙を吐く機関車を撮ろうと、カメラを構える人たちの映像。蒸気機関車が線路から消えて四十年ぐらいだから、動く蒸気機関車を初めて見る人がたくさんいたはずだ。
それに乗ったことのある私はなんと古い人だろう。そんなことを思いつつ物置を片付けていたら、火鉢が二個出てきた。昔々の暖房器具。「火鉢の縁に腰かけてお尻を暖めた」と言える私は、なんと古い人だろう。
それはともかく、火鉢をどうしよう。陶器のものと金属製のものと、いずれも骨董的価値はありそうにない。でも捨てるにはもったいないので何かに利用したい。陶器の方はメダカ鉢かスイレン鉢になるかも。底穴を開けて植木鉢にしても趣があるだろう。
金属製の方は、周囲に山や鳥の文様が浮き出すしっかりしたもの。クッション付きの蓋をすれば、ちょっと変わった腰掛けができそうだ。
でも、本当は火鉢を火鉢として使ってみたい。記憶の中にあるのは、炭の香り、爆ぜる音、白い灰から透ける火の色。お餅が焦げる美味しそうな匂い。
火を見ていると、時間を忘れる。火鉢は暖房器具としては用をなさないけれど、癒し器具として役立ちそうだ。安全のために、火を入れるのはあきらめるが、火鉢だけでも生活の中に持ってこようと思う。 (舞)