美杉の動物達をテーマにデザインしたTシャツと、織田さん(後ろは「ようこそ」の壁画)

美杉の動物達をテーマにデザインしたTシャツと、織田さん(後ろは「ようこそ」の壁画)

東大阪市出身で、三重大学大学院に通うため約5年前に津市美杉町上多気に移住した織田拓さん(32)は、過疎化が進む美杉の地域おこしに尽力。9月に大学院を修了し10月、多分野で美杉の活性化に取り組む会社「美杉イノベーションおりたく企画」を設立した。
織田さんは子供の頃から生き物や、絵を描くことが好き。一方、多動で勉強が苦手だったそう。転機は高校生のとき。理系の道に進むことを決心し、受験勉強に励んだ。結果、近畿大学生物理工学部に合格、卒業して岐阜大学大学院で研究し、その後、会社勤めを経て三重大学大学院に入学。
通学のため母親が上多気に所有する家に移ったところ、住民に頼まれ自治会や消防団に参加することとなった。このとき地域に必要とされ「初めて人に自分の価値を認めてもらった」と嬉しく感じ、恩返しとして地域おこしイベントを企画。その一つが「美杉なあなあまつり」で、集客と、町内の各種団体のネットワーク構築に貢献した。また同地区で、住民が昔懐かしい写真を観賞する会を企画し大好評。
さらに同町の観光案内・交流処「ようこそ」の外壁に美杉の鹿や渡り蝶を描いたり、美杉の動物達をデザインしたTシャツの販売も行っている。
そして同社では美杉への移住のコーディネートにも取り組む。織田さんは、移住者が自分一人で生活できるだけでなく、結婚・育児ができるだけの収入を得られる仕事があることが重要と考え、「移住者が、好きな仕事をして儲かる仕組みを作りたい」と抱負を話す。