草深靖志支部長

草深靖志支部長

前葉泰幸津市長

前葉泰幸津市長

金子一浩幹事

金子一浩幹事

後藤昭久相談役

後藤昭久相談役

松田貞司幹事

松田貞司幹事

伊藤宏一幹事

伊藤宏一幹事

松田 昨年7月から「津市空き家情報バンク」の対象地域が、美杉町から津市全域に拡大しました。前葉市長としては、約半年が過ぎた現在の状況や、今後のことをどのようにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
市長 以前から皆様にこの制度にご協力を頂いていますが、今後も、情報バンクに登録した物件ついての取引の媒介や、様々な情報提供についてご支援・ご協力を頂けるということで、昨年7月10日、公益社団法人三重県宅地建物取引業協会さんと、「津市空き家情報バンク制度に伴う媒介に関する協定」を結ばせて頂きました。
そのうえで、7月11日に津市空き家情報バンクの対象地域を拡大しました。元々11件の物件登録があり、拡大してから増えて、11月21日には一志地域で1件、売買が成約になりました。12月末現在の登録数は30件で、そのうち美杉が18件・そのほかの地域が12件ということで、物件の登録が進みました。
もう一つ、利用者登録ですが、拡大前の7月10日時点で90人だったところ、拡大してから(12月末までに)新たに64人登録をされました。利用登録は、空き家の物件に関心のある方が情報を得るために登録されるわけですが、これが154人で、おかげ様で順調なスタートをしたかと思っております。今後ともよろしくお願いします。
松田 草深支部長は昨年9月16日に津市と、空き家ネットワーク協議会が主催した「空き家無料相談会」に伊藤幹事らとご参加頂き、大勢の方が来場されたとお聞きしているのですが、当日の様子を教えて頂けますか。
草深 台風の影響で悪天候でしたが、82件ほど相談者の方がみえました。そのうちの約半分、40件ほどが不動産に関わる相談でした。ほかの相談も、解体業者をどうしたら良いか、父が亡くなり住んでいた家をどうしたら良いかなどで、我々不動産業者にとりましては、税法や、建築などの幅広い知識が要るということを改めて痛感致しました。
10時から16時まで行われた相談会で、津市、当協会と(同協会と共に「空き家ネットワーク協議会」を構成している)建築士事務所協会、不動産鑑定士協会、司法書士会、土地家屋調査士会、建設業協会、税理士会の方が参加されていましたが、僕ら三重県宅建協会のブースが一番忙しかったんです。相談に対応するのが2人では間に合わない、今度はもう一つブースを増やしても良いような感じでした。
また、ほかの市町でも、空き家ネットワークという形で同じような相談会を行っていて、その度に当協会の役員が出向き各支部の相談員と共に相談を受けているんですが、市によっては年3回、無料相談会をやっているところもあります。
今回、初めて相談会を実施させてもらい、色んな悩みを持つ方がみえまして、やっぱり、年に2回か3回はやって頂いたほうが良いかなという印象を受けました。
市長 わかりました。ぜひ、回数を増やすことを検討させて頂きます。
後藤 先日、美杉でも相談会を開きました。地域によっては、家が10軒あり、10軒とも空き家という所もあります。宅建協会としては、市役所が運転手で、僕らは横から乗っていておんぶさせてもらっていますが、美杉の場合でもそうですが、中に突っ込んでいかなあかんような時代が来たという気がします。空き家の庭が草ぼうぼうで、道路まで草が生えてきているような状態なので。
市長 荒廃農地、耕作放棄地について、積極的になんとか活用していこう、後藤さんの言葉を借りると、手を突っ込んで積極的に関与していこうというのがだいぶ増えてきましたから、空き家についてもおそらく、そういう状況に近づきつつあるということを私も実感しています。
松田 伊藤幹事も相談会に参加されましたが、相談内容を見てみると、古い物件や、旧郡部の物件が多いですね。
伊藤 基本的に僕が思うのは、津でも、中心部やその周辺の団地なんかの物件は、近所の不動産屋に貸したい・売りたいと言ったらすぐ成約するので、相談に来たり、空き家バンクに登録する必要がないんですよね。
だから、相談にみえたり、空き家バンクに登録される物件は何か切実な問題があります。例えば旧郡部の過疎化が進んでいるところで、貸したくても貸せない・売りたくても売れないとか。また、進入路が狭くて重機が入らないため直したり解体するのにかなりの費用がかかるが、例え費用をかけて直したり解体したとしても借りたり買ってくれる人がいない。この後、ずっと草を刈っていかなあかん所なのに、解体せなあかんのかと。
できたら相続したくない・タダでも良いからもらってほしいというようなことを言われる方が何人かみえましたけど、タダでももらってほしいという物件は、誰もタダでも要らないという。
僕が相談を受けた方は、隣の人に買ってもらってはどうですかと言ったら、隣も高齢の方が一人で住んでみえて、将来は家を壊して処分することを考えているみたいという話で。それなら、隣の家が解体されるときに一緒に解体して、できたら一緒に処分するような方法もありますよと。
これはもう、2年・3年とかいう話ではなく、下手をすると5年・10年先のことを考えて計画していかなあかんのですけど、それでも、今そういう風に計画を立てて、「解体するときには使わして」と一言声をかけておくだけで、一歩前進というか、しないよりマシというか。
松田 金子幹事は津市の中心部で営業されていらっしゃるので、旧郡部とは状況が違うと思いますが、お考えを聞かせてください。
金子 私は無料相談会で受付をさせて頂き、来
場者にファーストコンタクトで、どのような相談か、つまり相続か建替えか、不動産の売買かなどを聞いて、司法書士や不動産業者とかに振り分けていたので、ほとんどの方の相談内容を把握しています。
やはり伊藤幹事がさっき言われたように、非常に切実な問題やなぁと言うのを肌で感じた相談会でした。僕らは受付を回さなあかんのやけど、そこで相談になってしまうほどだったので。
その中で、やはり、津市内の駅前で貸したい・売りたいという相談は、1件もなかったと思います。全て旧郡部でした。
伊藤 旧郡部は土地の単価も低い。おまけに、開発された団地と違い進入路が狭いため、空き家を壊しても再び建物を建てるのは無理ではないかという所もけっこうあり、何とかしたいと言っても、一般の方では難しい。やっぱり経験のある不動産屋さんが、一緒に工夫・努力してせなあかんとは思うんですけど、なにせ単価が低いところに、一般の物件より労力が多い。
これは、はっきり言ってもう、動いてみえる不動産屋さんは半分ボランティアに近いと思うんですよ。ですけど、使命感を持って、なんとかしたいと考え、利益どうのこうの以前の問題として一所懸命動いてみえると思うので、その負担を、この先、どうしたら良いのか。皆で考えていかないかんことが沢山あるんじゃないかなと思います。 松田 市長、津市空き家情報バンクの制度は市全域に拡大されたばかりですが、築年数の古い物件や、旧津市以外の旧郡部の物件が多いという状況の中、どのように活用していったら良いのでしょうか。
(3面に続く)

市長 そうですね。良い状態の空き家は、できる限り、こちらの業界のご協力も頂きながらなんとか流通に乗せていってほしい、マッチングをして頂きたい。
ただ、空き家を借りたいと不動産業者さんを一生懸命、目を皿にして回られるというよりも、もう少しソフトタッチで、インターネットの世界で空き家情報バンクを見に来て頂いて「こういう感じだったら移住しても良いかな」とか、「住み替えても良いかな」とか、「ちょっと1回、賃貸を借りるところからやってみようか」というようなことを想像してみて頂いて、ご検討頂くということ。これをぜひおすすめしたいと思いまして、空き家情報バンクを美杉地域から市全域に拡大したわけです。
ただ、そうは言っても実際にこうやって相談会をやると、とても厳しい状況の空き家がいっぱいあるよねということになるわけで、それはその通りなんです。で、実際にそのまま置いておくとどうなるかというと、(平成27年施行された「空き家対策特別措置法」に基づき、倒壊など保安上の危険や、衛生・景観上の問題がある「特定空き家等」だと判断された物件の写真を示しながら)これが今、法に基づく勧告を2回出している物件なんですが、こういう状態になるんですね。
これは明らかに、地域にとってご迷惑。周りの方々の住環境を乱すという状況になるので、このような状態のものは、我々としてはきちんと、勧告をして、さらにはその後の手続きまで含め実施をしていくと。
そうすると固定資産税の6分の1特例もきかなくなってくる(「特定空き家等」に認定され、必要な措置をとるよう勧告を受けると、その敷地が固定資産税などの「住宅用地特例」の対象外となる)ので、そういう制度ができたのであれば、その制度をきちっと使っていく。
このように、空き家の活用を進めながら、管理状態の悪い空き家で、所有者の方がなかなかご対応頂けないケースにおいては、毅然とした対応をしていくことが、地域の皆さんの期待に応えられる道なんだろうなと思っています。

 

松田 少子高齢化の時代ですので、これから津市でも空き家が必然的に増えてくると思いますが、手のつけられないような状態になるまでに、今のうちから少しずつ対策をとっておくべきではないのかなという風に思うんですけど、例えば新聞にこの前、書いてあったんですが、相続登記を義務化してはどうかと。
お父さんが亡くなったときに相続せず、代々そのまま放っておいて、何十年も前に亡くなった人の名義になっていて、売却しようというときになかなか売却が困難というような物件も多々あると聞いております。
そういったことは我々ではどうしようもなく、法律の問題であり、行政に徐々に考えていって頂かなくてはだめではないかなと思います。後藤さんは土地家屋調査士・測量士でもありますが、ご意見お聞かせください。
後藤 当然、売り手側としてはきちんとした物件でないといけません。相続登記で、きょうだいで揉めてしまって判子をとれない、境界立会いもせずほったらかしで、いざ売ろうと思ったら隣の人と揉めてしまって境界が決まらないなどの問題が生じてしまい、契約成立までいかなかったことも多数あります。美杉なんか特にそうです。
だから、きれいに売れる物件にしようと思ったら、やっぱり、売り主さんも売れるための努力をして頂きたい。例えば空き家の庭がゴミだらけでは売れません。壊す費用が要ったりして売主さんも大変やと思いますが、それは行政、市役所にどうするんやと言われても無理なので。
また空き家対策特別措置法に基づき、条件を満たす空き家や、空き家の除却後の敷地の譲渡所得から3000万円が控除されますが、耐震性のない物件は耐震リフォームをしなければならないという条件があり、耐震するのはえらいことで大抵無理です。除却して売るとなると控除が適用されますが、相続以後、3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡した場合に限るという条件もあり、そうなると、やはり当てはまらないという事案が多数あります。
市長 そういう話を伺っていると、やはり地籍調査を進めてきちっと境界を確定させるとか、狭わい道路のセットバックを進めていくこと、そして相続登記。この辺りを行政も一緒になって社会的に今もう、きちっとやらなければいけない。
それは宅建業をやられる方にとって、そこをちゃんと整理しておいてもらわないと実際媒介できへんやんかという話よりも、もっと手前のところでね、社会的にやっとかなければいけないことだということが、わかってくるわけですよね。
そういう議論が、ようやく役所の中でもなされるようになってきたところです。例えば法務局では最近、相続登記を勧めるにあたり、なんとかしてもらいたい、そうしないと後々困るんだとPRするようになりました。
しかも、登記所(法務局)が親族関係証明書の証明行為をするようになった。その証明書を持って銀行に行けば、戸籍謄本をとらなくても良いという仕組み(=「法定相続情報証明制度」。全国の法務局で29年5月29日に開始し、各種相続手続きに利用できる)ができましたよね。
あれは何のためにやったかというと、法務省の関係者から伺うと、これは明らかに、相続登記をしてもらうための誘導策。つまり、「皆さん、今から銀行に行くんでしょ?そこに全部の戸籍謄本とっていくんですか?ここで相続登記をしてくれれば、証明書を出せるようになりますよ、まず相続登記してください、そうすると後に便利なことがついてきますよ」と。
そういう意図もあって、ああいう仕組みが出来たんですね。あの仕組みがどんどん動いていけば、おそらく相続登記はどんどん進むと思うし、相続登記ができれば、ややこしい物件がなくなってくると思います。
結局、社会の皆が、権利関係や、不動産について管理をきちっとやっていくことが、とても大切なこと。そして社会的な責任があるということ。それを進めるためのソフト面を含めてのインフラは、社会インフラだと。地籍なんかもそうですよね。という風なことを、行政としても申し上げているという状況です。
後藤 親族関係の調査は松阪市なんかは、行政書士会に頼んでやっているみたいです。津市はまだそこまでは……。
市長 それは四日市市もしておられるという風に伺ったことがあるんですけどね。これは多分、固定資産税を課税するときに、そこがはっきりしていればかけやすいということでやるんでしょうね。
津市の場合は、固定資産税は相続関係者の代表者の登録をきちっとしてもらい、その方の所に納税通知書をお届けしていますが、本当は後藤さんがおっしゃったように、親族関係調査をきちっとやっておくということが、一番良いのは良いです。
金子 僕は相談会で受付をしましたが、相続されていないという件が10件以上あったんですよ。例えば、親の名義で、もう亡くなっているんですと。僕はそこでもうちょっと突っ込んで、相続人は何人いらっしゃいますか?もめてませんか?という話を大体するんです。そうすると、揉めてないと言う方がほとんどなんです。
意識がなく放りっぱなしで、まぁ、いつでもできるわという感覚の人が多かったので、先ほど市長が言われたように、もっとこう……。今、法務局もPRしていますが、積極的にすれば、やれる人は沢山いらっしゃると思います。
伊藤 僕が相談を受けた案件では、相談者は土地を売りたいが亡くなった親の名義のまま相続登記していない。自分のほかにも相続人がいるが、
以前、相続放棄すると言っていて今は連絡がとれないということでした。相続放棄するという言葉を皆が聞いたというだけでは登記できないので、放棄する人に、法務局で通る書類を書いてもらわなければいけません。
草深 相談会は僕らにも勉強になりました。動向が分かり、これからどうしていけば良いのかという話ですよね。
金子 今回の相談会はお話を聞いて、空き家バンクに登録してくださいと言うだけでした。相談後のフォローをどうするのかを第1回目なので決めてなかったが、やっぱり、我々が動いてその先をいかないと。その場限りの相談会になってしまっては意味がないので。
後藤 以前は美杉で空き家見学会をよくやっていたが、最近は相談会ばっかりになっています。参加者にバスに乗ってもらったりして利便性を高め、地域別に見学会をしてもらえれば。市長、我々も協力させてもらいますので。宅建協会で全部せい、と言われてもやりたいくらいですので。
市長 見学会開催と、相談会の回数を増やすこと、相談会で相談を受けたあと、どのようにフォローするのかについて、前向きに検討します。
松田 津市空き家情報バンク制度の対象が市全体に広がり、情報も一度に沢山入ってくることになってきましたが、これを今後、空き家の有効活用にどのように繋げていくか。我々宅建業者も積極的に関わりながら真剣に考え、行政と一体となって、空き家対策を進めていきたいと思います。