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津市では特定外来生物「アライグマ」の被害拡大中。農業被害だけでなく、住宅侵入など市街地での被害が目立つので最も身近な獣害となりつつある。市では、捕獲用の小型檻を市民に貸し出しており、捕獲頭数は年々増加しているが、繁殖力が旺盛で天敵不在のため、更なる被害拡大は確実。事態を重く見た市も更なる対策を進めていく。
北米原産のアライグマは全国で野生化しており、農業被害や住宅侵入といった生活被害や、在来種の捕食による生態系への悪影響など様々な問題を引き起こす。国は許可なく生体飼育・繁殖・放逐ができない特定外来生物に指定している。
雌は1歳で繁殖可能となり、一度に1~7頭を出産。雑食性で食べる物を余り選ばず、日本には天敵が存在しない。環境省のシミュレーションで100頭の群れを全く捕獲しなかった場合は6年後に5倍、10年後に50倍に増えると試算されるほど繁殖力が旺盛。更に数を減らすにも生息数の50%以上を毎年捕獲しないと増えるとも言われており、全国の自治体が対策に苦慮している。
津市では平年24年に香良洲地区のナシ園が被害を受けた事を皮切りに、短期間で被害が拡大。風雨をしのげる住宅などの天井裏や縁の下をねぐらにすることも多いため、観音寺町や上浜町など市中心部や久居地区など市街化地域での住居侵入が目立つようになった。
対策として、津市は平成27年にアライグマの防除計画を策定し、農家や市民に小型捕獲檻の無料貸出を実施中。非常にニーズが高く、昨年6月に60基から100基まで一気に増やしたが、それでもフル回転状態。それに比例する形で捕獲頭数は平成28年度が89頭に対し、平成29年度1月現在で110頭まで増えている。津市内での被害例をあげると「家の屋根裏から聞きなれない音がする」と相談を受けた市職員が屋根裏を覗いたところ、アライグマの群れがねぐらにしており、糞尿が悪臭を放つ状態だったというものなどがある。
アライグマは、ねぐらや通り道の近くに小型捕獲檻を設置するだけで、比較的簡単に捕獲できる。ただし、気性が荒く、爪や牙も鋭利で、病原菌を媒介している可能性もあるので捕獲に成功した場合は、津市に引き取ってもらうべきだろう。捕獲する自信がない人は有料で専門業者に委託するという手段もある。
津市では今後も捕獲用の貸檻を増やしたり、市域におけるアライグマの分布状況を正確に把握するために情報収集を行い、それをまとめるなど、対策を拡充する。
アライグマは現在が繁殖期で暖かくなる春から活動が活発になるので注意が必要。被害の発生に備えて、侵入口となりそうな家の隙間をふさぐなどの自衛が必須。見慣れない足跡や、動物の姿を見かけた場合はすぐに相談するのも大切だ。
被害の相談は津市農林政策課獣害担当☎059・229・3238へ。
2018年1月25日 AM 5:00
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