県内の若者の献血率は全国最下位だが、「三重県赤十字血液センター」=津市桜橋=が平成26年度から県教育委員会の協力を得て高校で開いている献血セミナーや、三重大などの学生によるボランティア団体の献血推進活動が奏功し、10代の献血者数が増加傾向。今年度は先月22日時点で1657人と昨年度を超えている。センターは不足している学生ボランティアを募り、取組みの更なる充実を目指す。

 

若者への献血啓発に活躍する学生団体「みえっち」のメンバー

若者への献血啓発に活躍する学生団体「みえっち」のメンバー

近年、若者の献血率が全国的に低く、県内の10代(献血可能年齢16歳~)・20代の献血率は全国最下位と特に深刻な状況。輸血医療の患者の大半が50歳以上であるため、高齢化が更に進むと将来、輸血用血液が不足することが予想される。
そこで、三重県赤十字血液センターでは若者の献血推進のため、県教委の協力のもと平成26年度から、松阪市など県内の公立高校で献血セミナーを本格実施している。私立・定時制高校でも開講しており、受講者数は毎年、合計1万2000人以上。献血の経験がなく「注射が怖い」などの不安を持つ生徒が少なくない中、献血の流れや意義を職員から直接学ぶことで安心し、深く理解できる機会となっている。
また公立・私立高校への献血バスの配車にも力を入れ、実施校は24年度の1校から増え続け28年度には18校に。献血した生徒も同期間で10人から164人に増加し、今年度は12月末時点で20校、311人に上っている。
更に、三重大生などによる三重県学生献血推進連盟「みえっち」をはじめとする学生ボランティア団体が、センターのキャンペーンで呼び込みなどで活躍。
これらの結果、県内の10代の献血者数は増加傾向で、28年度は1646人と前年比約3割増。それでもこの年代の献血率は2・2%と全国平均5・2%には遠かったが、今年度は先月22日時点で1657人に達しており、全国最下位を返上できる可能性もある。
献血は、若いうちに経験することで習慣化しリピーターになりやすくなるため、若者の献血者数を増やすことは、将来的には上の世代の献血者数増加にも繋がる。職員や学生による若者目線の取組みで一定の成果を上げたことの意義は大きい。一方で学生ボランティアの確保など課題も多く、同センター事業部献血推進課の宮上俊彦課長は「若い人には、年上より、同じ世代の人が献血を呼びかける方が効果が大きいので、献血そのものはもちろん、啓発にも若い人の力をもっとお借りしたい」と呼びかけている。