県総合文化センターで3日に開かれた日本在宅医学会主催の地域フォーラム(大会長=四方哲県立一志病院院長)で、フランス発祥で認知症患者などに有効とされるケア技術「ユマニチュード」に関する講演が行われた。
講師は国立東京医療センターの本田美和子さん。またユマニチュード考案者のイヴ・ジネストさんも登壇した。
医療現場では、認知症の患者の暴れるなどの予測できない行動で、スタッフが身体・精神的なストレスを感じ疲弊するケースが多く、離職に繋がることもある。これは今後、高齢化が進み、在宅で介護に関わる人が増加することが予想される中、一般の人にも身近な問題。
そしてユマニチュードは、見る・話す・触れる・寝たきりにさせないという4つの柱があり、誰でも学ぶことができる。「見る」に関する技術は、例えば患者の正面から見て目と目を合わせること。
本田さんは冒頭、この技術を実践することで、認知症患者が、それまで拒否していたスタッフの看護を受け入れ、穏やかに話すようになった実例を紹介。
「ユマニチュードは、ケアの対象となる相手に『あなたは大切な存在である』というメッセージを、相手がわかるように伝える技術です。瞬間ごとに必要な技術を組み合わせて行う同時性と、全てのケアを一つの物語として行う包括性が重要です」と説明。
また「大事なことは、私はケアをする人として何をすべきかという基本的な立ち位置。私たちは患者さんの役に立ちたいと思っています。患者の持っている力を奪わないのがボトムラインで、私のやっていることは、①回復を目指す②今ある機能を保つためのトレーニング③非常に辛い状況を緩和する・最後まで寄り添うケア、のうちどれかに属します」とした。
そしてその上で、医療従事者が、患者が座っているとき、「立ち上がると転んで骨折し、結果寝たきりになる可能性もあるから」と、正しいと思って立ち上がれないように前に机を置いたりすることがあるが、その行動により、患者の持つ力を奪っていると指摘した。
続いてジネスト氏が、ユマニチュードの技術を実演を交えてわかりやすく説明。ケアにおいて患者の持つ人間らしさを尊重することと、愛情の重要性を強調した。