私はわりあいと丈夫な質だが、それでも病院に行くことはある。先日もちょっとした検査の待ち時間を、長椅子に座って過ごしていた。
向かいの椅子には八十代ぐらいの女性がいて、しゃがみこんだ看護師さんと話をしていた。聞くともなしに聞いていると、状況が呑み込めてきた。
「私はもうおらんでもええ人間やから、早よ逝きたい」彼女は独り暮らしで家に待つ人もいないのか、それとも家族の中にいても孤独を感じているのか。『そんなことないですって。これからも元気にしとってもらわんと』年配の看護師さんは辛抱強く話を聞き、言葉を重ねて励ましている。
ああして、彼女の孤独な胸の内を聞いてくれる人がいて、本当に良かった。忙しい業務の中で、よくやってくれるものだと看護師さんの対応に感心した。
人はみな、誰かの役に立ったり感謝されたりしたい。そこまでできなくともせめて存在を認められたい。孤独を感じた時には誰かにそれを打ち明けて、「あなたは大事な人だ」と言ってほしいものだ。
私もいつか心細くなって、あのように誰かに訴え、励ましてもらうこともあるだろう。でも、その時期がなるべく遅くなるように、まずは自分で自分を認めてやろうと思う。「私は生きているだけですごい。ここにこうしているだけで、十分りっぱ」と。         (舞)