3月1日~5日、芸濃町椋本の東日寺境内の特設野外舞台で、東京の劇団『水族館劇場』が『望郷オルフェ 終わりなき神話の涯に』を上演する。主催=『芸濃町を芸濃い町にする会』。既存の劇場では絶対に不可能な大量の水を使った迫力満点の演出でその名が知られてる同劇団。舞台を建てるのに必要な資材の提供など、地元の協力体制が公演を支えていることからも、東京の演劇ファンから芸濃町は〝芸濃い町〟として注目を集め始めている。

 

特設舞台の前で伊藤さん(左)と桃山さん

特設舞台の前で伊藤さん(左)と桃山さん

主催の「芸濃町を芸濃い町にする会」は、芸濃町椋本出身で、東京で活躍してきた文筆家・伊藤裕作さん(67)が地元の仲間たち共に設立。伊藤さんは還暦を機に地元と東京を行き来するようになり、地元への恩返しに「芸濃(げいのう)」という名前を大切にしたイベントを企画してきた。そして、旧芸濃町が誕生して60年に当たる一昨年に、今回と同じく東日寺境内で『水族館劇場』の『パノラマ島綺譚外傳 この丗のような夢』を上演した。
同劇団は、〝現代河原者〟を自称し、全国各地の神社や寺院の境内などに団員の手で一から野外舞台をつくりあげる〝小屋掛け芝居〟というスタイルを貫いている。既存の劇場では、絶対に不可能なサーカスを思わせる大がかりな仕掛けや大量の水を使った派手な演出と、唯一無二の世界観で多くの人たちを魅了している。
3月1日~5日に東日寺に建設された野外舞台「月白の絶巓」で上演される「望郷オルフェ」は同劇団代表で作・演出をつとめる桃山邑さんによる完全描き下ろしの新作で、この世とあの世が織りなす物語。タイトルはギリシア神話に登場する竪琴の名手で、死んだ妻を蘇らせるために、冥界へ向かったオルフェウスに因んでいる。それに似た物語がある古事記のイザナギとイザナミの物語や、同じく琴を巡る物語の宇津保物語をベースにしている。更に伊藤さんの発案で、世阿弥の息子で安濃津で亡くなった観世元雅の作品の俊徳丸や阿漕平治など津市にゆかりのある物語の要素も盛り込まれる予定。
前回の「この丗のような夢は」は芸濃町での上演後、昨年に東京新宿の花園神社や現代アートの祭典・ヨコハマトリエンナーレで上演され、大きな注目を集めた。前回の上演が決定した際、書き下ろし新作の初演が東京ではなく、東海地方の小さな町であったことは、演劇ファンに衝撃を与えた。
この公演が実現するのは地元の協力体制があってのことだ。境内のほとんどを提供している東日寺を始め、倉庫に資材を保管している萩原建設、今回の舞台のベースとなる足場を提供した㈱コマダ、資材の運搬や解体に協力する駒田製瓦所といった企業や、地域の人々もチケットの販売などで協力。今回は地域住人も役者として出演。伊藤さんは「私や劇団の力だけでは決して公演はできない」と地域への感謝を述べている。
今回もこの公演跡の4月に花園神社で上演されるため、東京に先駆ける形。芸濃町は名実共に「芸濃い町」としての認知が広がっている。
公演は3月1日㈭、2日㈮、3日㈯、4日㈰、5日㈪の5公演。全日17時半より入場整理券を発行。18時半より前芝居。19時開場。19時20分開演(上演時間約100分)。チケットは全公演桟敷の自由席。芸濃町内で販売する前売券の芸濃町特別割引券2000円。当日券は4500円。
チケット購入や問合わせは芸濃地区社会福祉協議会☎︎059・265・4890。休日などで繋がらない場合は☎090・2722・6825。