JR名松線は全線復旧して26日で丸2年となるが、元々赤字路線で活性化への道筋は未だ見えない。暗中模索の現状をどう打開するのかが課題となる中、第三セクターの「若桜鉄道㈱」=鳥取県=の元社長で、現在、「津エアポートライン㈱」=津市なぎさまち=営業企画部シニア・エキスパートの山田和昭さんに、ローカル線と地域活性化の関係についての意見などを聞いた。(全2回シリーズ・第2回)

 

 

 

名松線の終点・伊勢奥津駅(美杉町奥津)

名松線の終点・伊勢奥津駅(美杉町奥津)

復旧後のブームが落ち着きつつある今、現状維持策しかとらなければ、近い将来、確実に乗客は減り、再び存続が危ぶまれる。大海康弘美杉総合支所長は、今後についてJR東海や沿線の行政(三重県・松阪市)・住民ら関係者の連携による実践的な取り組みが必要とした上で、「もし再び被災したら、また復旧できるのか疑問。立ち向かえるだけの力をつけなければいけない」と危機感を示した。
そこで、鳥取県にある第三セクター・若桜鉄道㈱の公募社長として話題性ある企画を次々と実施し現在、津エアポートライン㈱に勤める山田和昭さんにローカル線と地域活性化について聞いた。
同社は昭和62年に設立され、国鉄改革でバス転換が妥当とされた若桜線をJR西日本から引き継ぎ、同年開業。利用者減少などにより経営が悪化したため、平成21年に沿線の八頭町・若桜町が線路などの鉄道施設を保有し、同社が運行を行う「公有民営方式」に移行。黒字転換をめざした。
一方、山田さんは東京都出身で、IT業界のマーケティング職などを経て平成26年に同社の公募社長に就任。零細企業でありながら沿線の多数の団体と連携し「SL走行社会実験」をはじめ大規模な企画を行うなどして、集客や経済効果も生んだ。
山田さんによると、鉄道は地域という「身体」にお金や人を通わせ元気にする「血管」のようなもの。地域の一部であり運命共同体だが、鉄道だけが元気になっても地域は健康にならない。「鉄道の活性化ではなくて、『鉄道を使っていかに地域を活性化するか』を考えたほうが結果も良くなるし、動きも色々ととりやすくなる」という。
また同鉄道は、観光だけでなく教育・金融・消防・美容など様々な分野の団体と、地域の過疎・高齢化という共通の課題のもと連携を実現した。
同鉄道と名松線は運行体制などが異なるが、地域活性化を目的とした利用促進策や、関係団体の連携が重要であることは同じで、参考にできる部分も少なくない。沿線の住民による「乗って残そう名松線」のスローガンは今や昔。過疎・高齢化が進む地域にどう人を呼び込むのか、今一度めざすべき将来像を再確認した上で、地域一丸となった積極策が求められる。