村上住職(右)と寺ヨガ講師の荒木裕子さん……本堂で

村上住職(右)と寺ヨガ講師の荒木裕子さん……本堂で

「真宗高田派 乙部山 潮音寺」=津市中河原=の村上英俊住職(47)は、同寺を時代の変化に合わせた方法で運営し活性化しようと、「ゆったり寺ヨガ」をはじめ様々なイベントを一般から参加を募って開催し、好評を得ている。
村上さんが子供の頃、同寺は公民館的な役割を持ち、地域の寄り合いなどで使われていた。また20年程前までは葬儀も行われていたという。
そのため人々は仏や死というものを身近に感じていたが、高齢化や家族のあり方の変化などにより寺を訪れる人が減り、現在、死や墓は「怖いもの」と思われがち。
そこで村上さんは色々な人に来てもらいたいと寺の運営について経営やマーケティングの視点から学び、「人のご縁を繋ぐ場にする」「浄土の世界のことを、押しつけではなく自然な形で皆さんに伝えること」という目的を明確化。実践に取り組んでいる。
「仏の教えは変わらないが、仏教の諸行無常という考えのように、時代やお寺も変わっていく。お寺の運営において『昔ながらのやり方を繰り返す』ことは手段の一つであり、目的化してはだめだと思います」。
数年前から始め、毎月第1・第3土曜の昼間に本堂で開講している「寺ヨガ」は、ポーズをとることを目的とせず、自身の体の伸びや、気持ち良さを実感できるよう構成されたプログラムで、若者やサラリーマンなどが参加。参加者が、寺ならではの穏やかな雰囲気の中、自分と向き合い、自分を見つめ直しリフレッシュする機会となっている。
仕事帰りにも参加できるよう、今後、夜間にも開講される予定。
また、これまで、紙飛行機教室や風鈴づくり、お灸と骨盤調整の講座、メイクアップアーティストと写真家がコラボし、終活の写真を撮影する企画なども実施し、地域や老若男女に関わらず、多くの人が寺に親しむきっかけとなった。
村上さんは「お寺の本堂は死を超越した空間で、本来は誰でも受け入れていた場所。死んでからもお任せなのがお寺の強いところであり、存在価値です」と話している。