道の駅「お茶の京都 みなみやましろ村」向かいの茶畑

道の駅「お茶の京都 みなみやましろ村」向かいの茶畑

月ヶ瀬駅口の旧トンネル

月ヶ瀬駅口の旧トンネル

道の駅の向かいの丘には大きな茶畑が広がっている。宇治茶の歴史は800年余りにも及び、南山城村を含む京都南部の山城地域は日本を代表する高級茶葉の産地。広く飲まれている「煎茶」、茶道に欠かせない「抹茶」、世界にもその名を轟かせる「玉露」などの生産技術を生み出した。
茶道を始め、日本を語る上で欠かせない喫茶文化を茶葉の品質向上や生産面から支えてきたこともあり、山城地域8市町村の文化財が平成27年に文化庁の日本遺産「日本茶800年の歴史散歩」として認定を受けた。南山城村に広がる茶畑も文化財に名を連ねている。
「日本茶のふるさと」と呼ぶに相応しい歴史を持つこの地域にあって、その軌跡を刻む建造物や庭園も非常に重要な存在だが、今も生産技術に磨きをかけながら、次代へと受け継いでいく姿勢こそが喫茶文化の源といえるだろう。
収穫シーズンを迎えたこの時季の茶畑には、黒い覆いがかけられている部分が見受けられる。収穫前の一定期間こうすることで、茶葉に含まれる渋み成分のカテキンが抑えられ、うまみ成分のテアニンが増す。玉露やかぶせ茶は、このように栽培されており、その生産技術がこの周辺地域で生まれたということを少し意識するだけで何気ない村の風景ですら、貴重な文化財と捉えることができるかもしれない。
あと、この道の駅周辺で少し面白いものといえば、JR関西本線の月ヶ瀬口駅の下にある新旧一対のトンネル。新しく道幅が広い方には「新今山隧道」の扁額がかけられており、コンクリートづくりの至って普通のトンネルだ。一方、道幅の狭い方のトンネルは、相当古く、道の駅の逆側は煉瓦の長手と小口を組み合わせたいわゆる「フランス式」で積まれている。現在では新は車道、旧は歩道として利用されているている。旧トンネル内部もレンガ積みで、道の駅側はコンクリートで延伸されたことがわかる。
トンネルを歩いているとまるでタイムスリップしたかのような感覚が味わえるのも魅力。更にトンネルを抜けたところにある水路も旧トンネルと同じ煉瓦積みで相当の歴史を感じさせる佇まい。
こういった旧世紀に整えられたインフラが、21世紀を迎えた現在も、立派に人々の生活を支えていることを設計者や作業に関わった人たちが知れば驚くに違いない。経済的な理由などもあったのだろうが、ただ壊して新しいものをつくるのではなく、残して活用するという判断も素晴らしい。文化とは、物に宿るのではなく、それと向き合う人の心なのだとはっきり確信した。(本紙報道部長・麻生純矢)